観光ネタが豊富な富山の体験型高付加価値ツアー!新聞記者からガイドになった森田さんの想いに迫る【エコロの森】

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富山市のガイドツアー会社「エコロの森」代表の森田由樹子さんは、富山県の自然の恵みや歴史文化を取り入れた体験型ツアーを企画・販売し、独自性の高い内容が県内外の固定客を掴み、さらに新規顧客を呼び込んでいる。森田さんは県外からの移住者で、新聞記者から観光業に転身したユニークな経歴も併せ持つ。起業に至った経緯や富山県の魅力などについて聞いた。

一番人気は室堂・弥陀ヶ原スノーシューピクニックツアー

富山市でガイドツアー会社「エコロの森」を経営する森田由樹子さん。富山県の自然の恵みや文化を取り入れた高付加価値のツアーが人気を集めている。
一番人気なのは、立山黒部アルペンルートの雪の大谷開催時に実施する室堂と弥陀ヶ原のスノーシューピクニックツアー。富山県の一大観光スポットである雪の大谷は、毎年春に高さ約20メートルの雪の壁を見て回るのが定番だが、ツアーではその場所の反対側に位置する室堂と弥陀ヶ原周辺を、雪上歩行道具のスノーシューで散策する。雪の大谷にはどっと人が押し寄せる反面、散策箇所は人が少なく穴場となっており、一面に広がる銀世界を軽快に歩き、独り占めとばかりに満喫できる。さらに雪上によっていつもは歩けない場所にも行ける貴重な体験に加え、富山県の鳥であるライチョウに高い確率で遭遇できる。
この付加価値の高い観光が評判で、何十本もツアーが開催されるほど。雪という観光資源とスノーシューに着目したツアーはこのほか、南砺市利賀(なんとしとが)エリアや五箇山エリアなどでも開催している。

富山市八尾・大長谷地区の山菜取りツアーは五感で自然の恵み体感

富山市八尾・大長谷地区(とやましやつお・おおながたにちく)での山菜やキノコ採りのツアーは、毎年参加の常連がいるほど根強い人気を誇る。地元ガイドの案内で山菜やキノコを採った後、採った食材がたっぷりと入ったピザやパスタのイタリア料理に舌鼓を打つ。さらに大長谷温泉に浸かってツアーの疲れを癒す。大長谷地区の自然の恵みを五感全部で体感できる。

このほか、テーマを定めたまちめぐりや森林セラピー、郷土料理体験など様々なツアーを取り扱っている。「もっと色々なツアーを作りたいですね。日本らしい自然文化は富山にたくさんあります。富山を世界中に知られる場所にしたいです」と行く末を見つめる。

大手新聞社の経済部記者として現場一線で活躍

森田さんは県外からの移住者で、元新聞記者という異色の経歴を持つ。
「富山県は山海の自然に恵まれ、魚をはじめとした食も豊富で、新聞記事で言う観光“ネタ”の宝庫に映りました。観光業を始めるにはチャンスだと考えました」。
大手全国紙の記者として、東京のど真ん中で夜討ち朝駆けの取材を繰り広げ、競合他社との抜きつ抜かれつの特ダネ合戦に明け暮れた日々から一転、富山県でマスコミとは異分野の観光業を起こした森田さん。起業に至った理由を話す穏やかで優しげな表情からは、東奔西走と現場を飛び回っては取材先で喧々諤々(けんけんがくがく)とやり合い、ネタを追っていた記者の姿は想像できない。
北海道出身の森田さんは、大学卒業後に記者として社会人生活を開始、全国各地の支局勤務を経て、東京本社の経済部で活躍していた。当時の生活は朝も夜もない常在戦場の毎日。
「大企業の社長から話を聞いたり、農林水産省などの官公庁幹部からネタを引いたりするのはやりがいもあり楽しかったけれども、四六時中仕事に追われていました。同僚だった夫との結婚と出産を機に、育児も大事な人生経験だと感じ、そちらを重視しようと思いました」と記者時代を振り返る。

新聞広告の企画取材から旅行の魅力に引き込まれる

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育児時間の確保を求めて広告部門へ配置換えとなったのが、現在のガイドツアー会社を始めるきっかけになった。新聞広告を出す企業とタイアップして広告用の原稿を書いていた折に、旅行会社と組んで自然体験ツアーの企画に携わった。富士山のトイレ問題を考えるスタディツアーや、地元の人と地引網を引いてふれあう体験など、読者を募って色々な地域での旅行を取材し記事にするうちに、交流と思い出が生まれ、経済効果をもたらす観光の魅力にどっぷりと漬かっていった。

富山県に移住、2008年に「エコロの森」創業

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夫の転勤で富山に居を構えたのを機に早期退職、次の仕事は自分で観光業を起こそうと決めた。
「記者時代に大企業の社長の話を聞くうちに、いつか自分でも起業したいと思うようになりました。富山に来た時は46歳。記者やライターの再就職は業種が特殊だから職を探すこと自体難しいでしょ。仕事するなら会社を作ろうと決めていました」と話す。
2008年に「エコロの森」を創業。コンセプトは富山県を舞台に、県の持つ自然や文化を取り入れて身近に感じる着地型旅行の提案。記者の経験から、観光の価値になりそうな“ネタ”を探すのは得意で、自分で調べ現場を回り、関係者に取材してツアーを作り上げていった。

コミュニケーション力の高いツアーガイドを育成、旅行者と地元民が「Win-win」の関係に

これから注力したいのは、自身の経験を元にしたツアーガイドの育成だ。
「ガイドは資料通りに観光地の説明をするだけではなく、参加した旅行者を楽しませるコミュニケーション力が肝要です。ガイドがいたから有意義な旅行になった思い出が、リピートにつながり、さらには富山県への愛着心を芽生えさせます。ツアー中の会話から参加者が何を求めているのかをキャッチして、要求を満たすようなふれあいを生み出し、充実度を上げるガイドを養成していきたいですね」。
森田さんは今後、ツアーガイド講座を開設したいとしている。コミュニケーション力の高い地元ガイドを増やすとともに、富山の持つ観光資源に人間力を組み合わせた高付加価値のあるツアーを作り、地元民と旅行者がどちらも満足できる「Win-win」関係づくりのきっかけになりたいと思いを馳せている。

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