【高岡市】2023年オープン KOMBUHOUSE(昆布ハウス)で富山のソウルフードを満喫!
富山の食文化を語る上で欠かせない「昆布」にこだわった施設が2023年春、高岡市金屋町(かなやまち)にオープンした。コース料理をはじめ、お酒、エステ、さらに宿泊と、心身ともに「昆布づくし」を満喫できる施設を訪ねた。
鋳物(いもの)産業の地、金屋町に開館
昆布締め、おにぎり、かまぼこ、昆布巻などなど。昆布は富山県民の食卓を飾る品として、長年にわたり親しまれている。江戸から明治時代の北前船貿易で、北海道よりもたらされてから食文化が根付き、年間の消費量は全国でもトップクラス。その深く愛される食材を、飲食と美容、宿泊に活用して楽しみながら心身ともに健康になる人を増やしたいと、2023年春に高岡市金屋町に開店した施設が、今回紹介する「KOMBUHOUSE(昆布ハウス)」である。
場所は鋳物(いもの)産業で名を成した重要伝統的建造物群保存地区の高岡市金屋町にある。金屋本町の交差点から、石畳の道と千本骨子の家並みが調和した歴史的雰囲気の街を500メートルほど進むと、古民家を改装した赤茶色の二階建て建物が見えてくる。
中に入ると、木をふんだんに使った内装に、時代を帯びた高岡銅器や桐タンスなどの調度品が置かれてあり、温もりのある小洒落れた空間が創り出されている。
昆布料理のフルコースに舌鼓
オーナーの竹中志光さんのおもてなしで昆布料理フルコースを味わった。はじめは納豆、おぼろ、白、黒の各昆布を食べ比べる一品。納豆は粘り、黒とろろは酸味といった味や食感の違いを楽しむ。
二品目の薬膳三種盛りは、甘酢のあえ物のおすわい、キビナゴの田作り、ズッキーニとナスの焼き浸しといった家庭でなじみの料理に昆布を合わせている。
三品目は富山県民好物の昆布締めの刺身。甘エビと真鯛が締められ、うまみが染みわたっている。カウンター奥には昆布焼酎の瓶がずらり。たまらずお酒を頼みたくなったが、運転手のため昆布エキスの入ったノンアルコールジントニックを注文する。
柔らかな味わいのジントニックのグラスを傾けつつ、四品目のポテトサラダとだし巻き玉子、五品目の羅臼昆布、ホタルイカ、かまぼこの炙りセット、六品目のとろろ昆布をあしらった春巻きを食べ進めていく。
七品目は昆布締めにした豚肉のしゃぶしゃぶ。肉が柔らかく、風味が染みこんだまろやかな味が噛むほどに口に広がっていく。最後に昆布おにぎりと昆布ほうじ茶で締めた。昆布という衣によって、味の濃淡ある全ての料理が優しく包まれているかのような食体験だった。効能なのか分からないが、食べる前よりも胃腸の調子が上向きになった気がした。
昆布原料のエステで肌ぷりんぷりんに
施設には飲食のほか、エステサロンもある。エステはガゴメコンブを原料とした化粧水、オイル、シートマスクなどを使って施術する。昆布の持つぬめりに保湿効果があるそうで、美容増進につなげている。利用者からは「肌がぷりんぷりんになった」、「弾力が出て滑らかになった」との声があり、評判は上々という。顔やボディなど各種コースは60分から受け付けている。サロンは予約制で、問い合わせは担当の工藤優子さん(TEL:080-8000-4879)まで。
2024年2月には宿泊ルームも開設
さらに、2024年2月には施設内に宿泊部屋をオープンする予定であり、最大4人が宿泊できる。宿泊者には昆布の入浴剤を使った風呂の提供をはじめ、金屋町伝統の踊り体験や、昆布にまつわる講談の開催を検討している。食とエステを堪能し、宿を構えて伝統産業で栄えた金屋町をじっくりと見て回り、古くからの高岡市民の日常を感じてみてはいかがだろうか。
「大寺幸八郎商店」で錫(すず)工作体験はいかが
先にも書いた通り、昆布ハウスのある金屋町は高岡銅器産業の中心だった当時の面影を残した風情のある地区で、街歩きのほか、伝統産業の一端を知る体験もできる。メイン通りにある「大寺幸八郎商店」では、錫(すず)を金づちややっとこで形を変えてブローチやピアス、キーホルダーなどに仕上げる体験が人気だ。作品完成後は、情趣溢れる館内にて抹茶で一服しつつ、コマーシャルにも使われたロッキングチェアーに座りながら、日本庭園を眺めるのも乙なもの。この工作体験などを含めたオプショナルツアーもあるので、「VISIT富山県」のサイトを参考にしてほしい。
おわりに
金屋町の新スポットとして注目される昆布ハウスと、周辺観光の魅力を紹介した。竹中さんは「この施設をきっかけに金屋町と昆布の文化を深く広げていきたい。いずれは昆布の学校を作りたい」と、さらなる夢に向けて力を込めて話した。