【富山市】老舗惣菜店「ボーンミート」復活!経営者の想いと千石町通りのソフトクリーム3店舗

  • 「三代目ボーンミート」の前で想いを語る経営者の河野京一さん

    「三代目ボーンミート」の前で想いを語る経営者の河野京一さん

富山市中心部にある「千石(せんごく)町通り商店街」。約90年の歴史がある同所には、地元民に長らく愛される幾つもの老舗店が並ぶ。その中で、店主の高齢化によりいったん店を畳んだものの、熱ある後継者が現われて味を受け継ぎ、2024年に発展的復活を遂げた精肉惣菜店がある。経営者の想いに迫るとともに、歴史ある商店街の魅力を探した。

2024年に開店 受け継がれた総菜とジビエを扱う

「初めての販売店舗運営で慣れない部分もありますが、先代と同様に地元のみなさんに愛される店になるよう、試行錯誤を重ねています」。
業務用食品卸売業「伊久三郎商店」を手掛けながら、新たに精肉惣菜店「三代目ボーンミート」の経営に乗り出した河野京一さんは、新店の目標についてこう話す。
「三代目ボーンミート」は富山市中心部から千石町通り商店街のゲートをくぐってすぐ左手に位置し、2024年5月に新装開店した。先代のレシピを受け継いだ惣菜を販売し、加えてイノシシなどの富山県産ジビエ(野生鳥獣の食肉)も取り扱う。「三代目」という名称が、変化しながら事業承継する店の様子を示しているように映る。開店までにどのような経緯があったのか尋ねると、
「本当にめぐり合わせで、先代の後継者探しと、自分で販売したい商品の思惑が一致してからは話が早かったです」と振り返る。

ボーンミートは、1987(昭和62)年に初代の北森敏滋さんが開いた。精肉と惣菜を取り扱い、「チューリップ」と呼ばれるとりのから揚げやメンチカツ、焼き鳥などの手作りの味が評判を呼び、約40年に渡り地元民の胃袋を満たしてきた。だが近年、年齢による体力の衰えを感じるようになり、同業他社への経営譲渡も含めて後継者を探していたが中々見つからず、2023年10月末で店を畳む決心をしていた。

一方、河野さんは従来から取り扱う富山県産ジビエ肉の需要拡大を目指していた。ジビエ肉は「臭い、固い」と印象を持たれ、抵抗感のある人が多い。河野さんの取り扱う肉は専用施設で丁寧に下処理され、臭みのない柔らかな肉に加工される。味には自信があり、また害獣駆除から食用品を生み出すのは、持続可能な社会へ向かう世界の潮流に沿っていると考えていた。

河野さんはジビエ肉の販路拡大のために店を持とうと、2023年秋から下調べのため精肉惣菜店巡りを始める。10月上旬にボーンミートに立ち寄ったところ、あと少しで閉業する事実を知る。渡りに船、とばかりに北森さんから事業承継の話があった。河野さんは老舗のブランド化した味を受け継ぎつつ、新たな商品を販売できる環境が相乗効果を生み出すと考え、すぐに快諾した。同じ場所で店内を改装して閉業から約半年後、「三代目ボーンミート」として新装開店した。

店内で精肉や総菜を調理し、作り立てをそれぞれのショーケースに並べる。壁に貼られた手書きの商品札は、手作りする一つ一つの品を表すかのように温かみがある。

人気商品は「県産米粉の若鳥唐揚げ」と「チューリップ」

惣菜の人気商品は「県産米粉の若鳥唐揚げ」と「チューリップ」。「県産米粉の若鳥唐揚げ」は三代目オリジナルで、富山県産米粉とゆず胡椒を使用し、もっちりとした衣の食感にピリリと香るゆずの風味がクセになる一品。一つ一つのサイズも大きく、食べ応え抜群で食卓のおかずに最適だ。「チューリップ」は、先代のレシピを引き継いた一品。手羽元の肉をひっくり返してチューリップの形を作るというひと手間も、昔の製法に倣っている。かぶりつきたくなるような形状が子どもたちに人気で、30本をまとめ買いする客もいるそう。

さらに、いのしし肉のメンチカツ「シシメンチ」も素材の自然な甘みがクセになり、ヘルシー感もあって女性に好評だという。

お土産に最適な富山県産の調味料なども並ぶ

店内にはこのほか、食品バイヤーでもある河野さんが選定した富山県産の醤油やみそなどの調味料や、栄養価の高い地産の卵も置かれ、お土産にもちょうど良い品が揃う。最近では昼に弁当の販売を始め、安価でボリュームのある内容が近隣のビジネスマンに人気を博している。

地元民に愛される‟まちのお肉屋さん″に

店内には「皆様に愛される”まちのお肉屋さん”を目指して」と題した河野さんの想いがパネルに飾られている。この取材中に来店した客の話が印象的だった。恐る恐る店内の様子を確認しながら入店したその女性客は、復活オープンの事実に喜び、「県外に住む息子はこの店の総菜が好きで、帰省のきっかけになっていました。閉店してからは楽しみが消え、もう帰らないと嘆いていましたが、これで復活したから帰って来られ、と言えます」と嬉しそうに話した。まさにパネルに書かれた「(ボーンミートが)まちの生活に寄り添い、食卓に彩りを添える一助になる」の一文を表す場面だった。
河野さんは「お客様の色々な意見を取り入れながら、昔の良さを残しつつ、三代目としての新しさも出してリピートされる店にしていきたいです」と前を向き、従業員と知恵と力を合わせて目標に向けて取り組んでいる。
同店の営業時間は10:00~19:00で、定休日は毎週水曜日および第二、第四木曜日。

新スポット⁉「ソフトクリーム通り」新旧3店舗こだわりの味

さて、歴史ある千石町通り商店街には飲食店など様々な店が集まっており、散策するのも楽しい。ボーンミートの揚げたてハムカツを手にしながら商店街をぶらつくと、ソフトクリームの立体看板が左右に立つ一角にたどり着いた。

最近一部から「ソフトクリーム通り」と呼ばれている同所は、旧来の2店と新規の1店の計3店舗がそれぞれ特徴のあるソフトクリームやアイスクリームなどの冷菓子を販売している。

「栗林園」お茶屋さん目利きのほうじ茶・抹茶ソフト

まずは茶道具販売の「栗林園」。同店は茶道具や銘茶、抹茶を取り扱う創業84年の老舗店だが、2023年より「お茶屋さんの作ったソフトクリーム」と題し、宇治抹茶と宇治ほうじ茶ソフトクリームの販売を始めた。プロの目利きで選んだ茶葉を元にして製造されたソフトクリームは、仕上げにそれぞれのお茶パウダーを振りかけて香りを高めるほどのこだわりぶり。口にすると、茶の風味が濃い口当たりの後にほどよい苦味が残り、パウダーによって際立つ上品な香りがふわりと鼻を突き抜けていく。しつこい甘さもなく、まるでお茶を飲むような清涼さを感じる一品だ。
同店の営業時間は9:00~19:00で、夏場は基本無休。

「平野屋」心落ち着く甘みのアイス最中

続いては栗林園の対面に位置するアイスクリーム販売の「平野屋」。1935(昭和10)年に創業した同店は、創業時からの秘伝のレシピを守り続けている。あっさりとしながらも甘味を覚える味わいが特徴で、ソフトやアイスクリームなど様々なメニューの中から、今回はバニラアイス最中を食した。パリパリの皮にバニラの程よい甘さが交わり、心がほっと落ち着くかのような昔ながらの味わい。夏日には一日約80組が訪れるという。
同店の営業時間は10:00~19:00で、定休日は水曜日。

「イソップ&赤田屋」脂肪分少なめで冷え冷えのソフトクリーム

最後は平野屋の隣にある喫茶店と冷菓子販売の「イソップ&赤田屋」。こちらも1930(昭和5)年に創業した長い歴史を誇る店だ。同店ではソフトクリームを味わってみた。

一口食べると、ソフトがすうっと口の中に溶けていくように感じる。脂肪分を少なめにして作っており、それが舌ざわりの良さと冷感度を高めているのだという。
同店の営業時間は10:00~16:00で、夏場は無休。

これから続く夏日には千石町通り商店街の「ソフトクリーム通り」を訪れ、3店舗自慢のソフトクリームやアイスクリームを食べ比べてみてはいかがだろう。

Column

【江戸前 寿司正】で富山湾鮨-1

【江戸前 寿司正】で富山湾鮨

千石町通り商店街の寿司店「江戸前 寿司正」では、富山の地魚をネタにした「富山湾鮨」を味わえる。ふぉとやまライター「あるのん」さんの同店体験記事はこちらからどうぞ。

江戸前 寿司正の「富山湾鮨」で圧倒的富山力を満喫!

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