【とやまdeバックカントリー】
富山県内のバックカントリーフィールドと、活動中の注意点についてご紹介します!

  • 室堂山へ登るスキーヤー、スノーボーダー

    室堂山へ登るスキーヤー、スノーボーダー

富山県警察山岳警備隊です!
近年、人気が高まっている雪山でのアクティビティ、バックカントリースキー・スノーボード。実は富山県にも素晴らしいフィールドがたくさんあるんです!今回は、立山・室堂など県内の人気ルートの一端をご紹介します。
一方で、全国的にバックカントリーの悲惨な事故も多発しています。バックカントリーでの活動は、雪山登山の範疇に含まれ、雪山登山と同様の危険が潜んでいます。記事後半では、バックカントリーに潜む危険や注意点等についてもお伝えします。

人気エリア① 立山・室堂

富山県屈指の人気エリアと言えば、やはり『立山・室堂エリア』でしょう!毎年多くのスキーヤーやスノーボーダー、登山者等で賑わいます。しかし、多くの方が訪れるということは、それだけ事故の可能性も増えるということで、過去には悲惨な遭難事故が発生しています。
※ 山崎カールでの救助活動の様子を以下の動画で見ることができます。

人気エリア② 金剛堂山、大品山、毛勝三山など

立山・室堂以外にも人気のエリアはあります!
雪深い冬には、県西部の金剛堂山や、比較的アプローチのしやすい大品山等が人気です。いずれもたおやかな山容ですが、部分的に急な斜面や細いリッジ状の地形もありますので注意が必要です。
春以降の残雪期には毛勝三山(毛勝山、釜谷山、猫又山)の阿部木谷や猫又谷も滑走対象になります。長大であるが故に充実感を得られますが、ブロック雪崩や落石への警戒等が必要な、中・上級者向けのルートです。

雪山に潜む危険① 転倒、滑落、衝突等

スキーやスノーボードに転倒はつきもの…ですが、バックカントリーではゲレンデのように安易に(?)転倒すると危険な場合があります。露岩や樹木のような障害物があったり、雪庇や崖が潜んでいる場合もあります。沢やツリーホールへの落下や、フカフカの雪に埋もれて動けない、なんてことも!「転んではいけない場所」があるのがバックカントリーです。滑走前には必ず地形を観察してコースを選択し、滑走中はご自身の技量に合ったスピードを維持する等、慎重さを忘れないことが重要です。

雪山に潜む危険② 低体温症、凍傷等

スキーやスプリットボードでの登高は、わかんやスノーシューと比べて、格段に行動速度を上げられることが魅力であり利点でもあります。
一方で、行動速度が上がれば素早く高度を稼げますが、激しく動く分だけ汗をかき、気づかないうちに低温や疲労、脱水から低体温症に陥ったり、薄手のグローブのまま登り続けていつの間にか「指先の感覚がない!」(凍傷)なんてことにもなりかねません。指先、足先、顔など体の各部分の寒さ・冷えや、体全体の疲労感を確認しながら行動しましょう。運動強度に合わせたウェアの調整や休憩時の防寒着の着用、水分・エネルギー補給等も重要です。

雪山に潜む危険③ 道迷い、ルートミス等

ゲレンデで霧にまかれ、斜面の傾斜や凹凸、自分が動いているのかどうかすら分からなくなって、気づいたらひっくり返っていた…そんな経験(「空間識失調」というらしいですね)はありませんか?ここまで極端な状況にならないまでも、雪山でのホワイトアウトから、道迷いやルートミスによる危険個所への入り込みなど、遭難事故に発展してしまうことは少なくありません。
山に行く前から気象情報を収集し、荒天が明らかな場合は計画の変更や延期を検討してください。また、事前に予定ルートを研究し、地図とコンパス、GPSとともに、行動中の天候急変や万が一のビバークに備えて、ツェルトや防寒着を携行して行きましょう。もちろん、どの装備も使い方を習熟しておくことが大事です。

雪山に潜む危険④ 雪崩

極端なことを言えば「斜面」と「雪」があれば、どこでも雪崩の危険は存在します。特にバックカントリーの滑走対象となる、急傾斜・新(深)雪という条件がそろうフィールドはその危険性が非常に高くなります。
一例を挙げると、立山・室堂エリアでは、平成17年以降、上の地図に記された5件の比較的大規模な雪崩事故が発生し、人的被害が出ています。室堂周辺は、毎年4・5・11月にはスキーヤーやスノーボーダー、登山者の方々で賑わいますが、行動に際しては、気象や積雪状況等について、慎重な判断が求められます。また、雪崩ビーコン、スコップ、プローブをはじめとする雪山装備の携行も必須です。もちろん、上の地図以外の場所でも大小様々な規模の雪崩や、人が巻き込まれる雪崩事故が発生しています。
以下のリンク先に立山・室堂エリアの山岳スキー情報や、4・5・11月に適用される『立山室堂地区山岳スキー等安全指導要綱』について詳しく説明されています。ぜひ、ご覧ください。

おわりに

今回は、富山県内バックカントリーフィールドの一端と、活動中の注意事項について紹介させていただきました。バックカントリーでの滑走は雪山登山の一形態です。そして雪山には様々な危険が潜んでいます。そのことを忘れずに、安全を最優先に、富山県の雪を楽しんでください。
バックカントリーにおける注意点については以下の動画でも確認できます。どうぞご視聴ください。

以上、富山県警察山岳警備隊でした!

ランキング

#人気のタグ

テーマ

エリア

ライター紹介

ライター一覧を見る

同じテーマの記事

このライターの記事