【ふしぎなふしき】国宝「勝興寺」をぶらり街歩きの旅(高岡市伏木)
「ふしぎなふしき」へようこそ!海と山に囲まれた自然豊かなこの地区では、万葉集でおなじみの大伴家持から、国宝に選定された「勝興寺」、そして壮大な曳山がぶつかり合う「けんか山祭り」まで、多くの歴史と伝統が今も大切に引き継がれています。今回は伏木地区を代表する観光地、伏木駅から勝興寺までのぶらり街歩きを楽しんできました!
【ふしぎなふしき】へようこそ!
JR氷見線上にある伏木駅に降り立つと、駅の真ん前でお出迎えしてくれたのは、万葉集でおなじみの「大伴家持(おおとものやかもち)」たち。
銅像に看板のイラスト、キャラクターなど、なんと3体もの家持さんがいるではありませんか!
お正月には、みんなで万葉かるたを楽しむほど、万葉集に親しみのある高岡市。
そして、その万葉集を編纂したといわれる大伴家持が、かつて国司として滞在し、数多くの名句を詠んだのが、この伏木地区です。
駅に掲げられた看板には「ふしぎなふしき」の文字。
その文字通り、伏木地区には多くの魅力があると言われています。
今回は伏木駅をスタートし、「勝興寺」までの道を歩きながら、伏木地区の不思議な魅力を散策してみました!
【国宝】勝興寺
情緒と自然があふれる伏木駅前の道を、5分ほど真っすぐ進むと、勝興寺にたどり着きます。
2022年に国宝に指定された「勝興寺」は、古くから越中の浄土真宗の拠点として、栄えてきました。
加賀藩や本願寺との縁も深く、高貴な寺院でありながら、地元の人たちの憩いの場になるなど、伏木の人たちにとってなくてはならない存在だったそうです。
勝興寺の魅力は、なんといっても広々とした美しいこの景観です。地方では破格の規模を誇る本堂をはじめ、多くの建造物が国宝や重要文化財に指定されています。
1998年から23年をかけて、江戸時代の壮麗な伽藍(がらん)を残すために平成の大修理が行われました。
現代の構造物もほとんど存在しないため、境内は当時の景観が維持されています。
荘厳な本堂に入ると、大切に積み重ねられてきた歴史と、さまざまな匠の技を感じられます。
本堂から境内を眺めると、中央の銀杏の木を中心に、広々とした空間の中にたくさんの緑が目に飛び込んできます。
本堂が見守る中、伏木地区の方々は、子供のころから勝興寺でのびのびと過ごしてきたそう。風格を備えながらも、地域の方々を広く受け入れてきたその関りが、地域に愛されてきた所以なのかしれません。
本堂の中には立派な御本尊と「デカローソク」と呼ばれる巨大なろうそくが。明治時代以降、地元の人々が競い合って大きなろうそくを奉納したため、ここまで大きくなったと言われています。
勝興寺を大切にしてきた、地域の方々の思いの強さを感じます。
本堂に向かって右手側に位置するのが、こちらも国宝に指定された「大広間」と「式台」です。
※勝興寺では「式台」は来客用の玄関や控えの間として使用されていました。
こちらには、国宝に指定された「式台」や「大広間」、お坊さん方の生活の場であった「書院」などが、当時の配置のまま残されています。
中には貴重な工芸品や絵画などの文化財も多数展示。当時の文化や生活を間近に感じられる、貴重な体験ができます。
勝興寺の七不思議?!
勝興寺の魅力は、国宝である本堂と大広間・式台だけではありません。
なんと、浄土真宗のお寺には珍しい「七つの不思議」があるのです。
それでは「ふしぎなふしき」の勝興寺の七不思議をご紹介!
どこにあるかは、ぜひ勝興寺に行って、皆さんの目で確かめてみてください!
一つ目は「実ならずの銀杏」です。
本堂の前に位置する、とても立派なイチョウの木。昔はたくさんの実をつけ、近くの子供たちがこぞって銀杏の実を採っていたといいます。
しかし木から落ちてけがをしたり、実の取り合いになったりすることが続いたため、実がならぬようにと願ったら、その翌年から、この銀杏の木には実がならなくなったという伝承が残っています。
三つ目は本堂の左横にある「水の涸れない池」です。
木造の建造物が多い寺院では、付近に水場を用意し、火災への備えを行っていました。
この池の横にある「経堂(きょうどう)」と言われる建物の軒下には龍の彫刻があり、その龍が夜な夜な雨を呼ぶため、この池は水は涸れることがないと言われています。
四つ目は「屋根を支える猿」です。
本堂を支える四つ角の柱の一番上。ちょうど軒下あたりに、屋根を支える猿(あまのじゃく)がいると言われています。
大きな屋根の隅のためなかなか見えづらいのですが、書院の中にその彫刻のレプリカが展示されています。
小さな体で懸命に大きな屋根を支える姿には、どこか愛らしさも感じられます。
五つ目は、本堂の中、左奥に位置する「魔除けの柱」です。
木造建築では、完成した時点をピークに、建物は朽ちていくものと考えられていたため、どこかに一つ不完全なものを入れることによって、未完成の状態を意図的に作り出すという方法が採用されていました。
それがこの「魔除けの柱」です。わざと木を逆さまに使用し、建物が朽ちていかないよう魔除けとして扱っていました。
実際は、一本だけ材質の違う木を用いて、その状態を観察することで、次の建て替えの時期を図っていたと言われています。
技そのものを残すことで、建築の技術を伝えていく。そんな伝統ある木造建築の真価を見られるのが、この柱です。
蓮如上人(れんにょしょうにん)が愛用していたと言われる一品で、書いても書いても水がわき出てくる不思議な硯だったそう。実際は、中に水を仕込んでおく部分があり、当時の便利グッズだったのかもしれません。
七つ目は、本堂の右横にある「三葉の松」です。普通の松の葉は2本に分かれていますが、こちらの松は3本。大変珍しいということから、お財布に入れておくとお金が増えるとか、ご利益があるとか言われているそう。※松の葉は、落ちているもの拾いましょう。
伏木の駅前をぶらり街歩き
勝興寺観光を終えたら、お次は伏木駅までの魅力的なスポットをご紹介いたします!
高岡市の花【かたかごアイス】
勝興寺と伏木駅をつなぐ坂道の、ちょうど中腹にある寺の駅「やや家」。
こちらでは、大伴家持が万葉集で詠んでいる花であることから高岡市の花として指定され、市民の皆さんに親しまれている「かたかご」の花をモチーフにしたアイスを販売していました!
「かたかごアイス」ってことは…「カタクリ粉の味?!」と、ドキドキして食べてみると、さっぱりとしたベリーとバニラのハーモニーがとってもおいしい最中アイスでした。
かたかごの花の色を再現したことから「かたかごアイス」と名付けたとのこと。
ちょっとした休憩にぴったりのサイズで、高岡ならではの雰囲気を楽しめる、おすすめの一品です!
高岡市伏木気象資料館(旧伏木測候所)
坂道の中ほどを歩いていると、趣のある洋風の建物が見えてきます。こちらは高岡市伏木気象資料館(旧伏木測候所)。
北前船による伏木港の発展を大きく前進させた、日本初の私立測候所(その地域の気象を観測し、天気予報をしたり、地震などの観測をする場所)です。
現在は明治期から残る気象観測施設として高い評価を受け、多くの気象観測機器や記録が残る、貴重な資料館として運営されています。
現在は自動で測量する機械が設置されており、富山県西部の天気予報をする際の拠点となっています。
おなかを満たす伏木民の味「食楽房・如楓庵」(しょくらくぼう・にょふうあん)
勝興寺へのお散歩も終盤を迎え、ちょうどお腹も空いてきた頃に立ち寄りたいのが、伏木駅前にある「食楽房如楓庵」です。
観光客の方だけでなく、地元の方々も通う伏木の味なのだそう。
伏木港でとれた新鮮なお魚をランチでも楽しめます。
豊富なメニューの中から今回は如楓庵ランチを注文。
丁寧に味付けされた小鉢に、お刺身、揚げ物と盛りだくさんの内容に、お腹も心も大満足です!
【ふしぎなふしき】に来られ~!
「ふしぎなふしき」のぶらり街歩きはいかがだったでしょうか?
歴史と伝統を感じる国宝から、のんびりと美しい街並みを楽しめるお散歩コースまで、伏木地区には人々を魅了する多くの不思議な魅力がたくさんあることを実感しました!
ぜひ、皆さんもご自身の目で、伏木の魅力を見つけてみてください!