高岡の歴史と文化に触れる(高岡市金屋町~山町筋)
高岡の礎を築いた、高岡鋳物発祥の地を歩く
高岡市中心部にある金屋町と山町筋は、伝統的建造物群保存地区に指定されており、現在も昔ながらの町並みが大切に守られています。どちらの場所も江戸時代初期に加賀前田家2代当主・前田利長によって開かれました。金屋町には鋳物師の工場がつくられ、今日の高岡銅器へと発展しました。また、山町筋は商人の町として繁栄し、今も御車山行事が受け継がれています。高岡が「ものづくりの町」へと発展するきっかけをつくった金屋町と山町筋の間は、歩いて約10分ほどの距離。ぜひ一緒に訪れましょう。
高岡市金屋町と山町筋までのアクセス方法
金屋町までのアクセス
●高岡まで鉄道を利用してアクセスする場合
北陸新幹線「新高岡駅」から、加越能バスに乗車し「金屋」バス停で下車してすぐ。
あいの風とやま鉄道「高岡駅」から徒歩約20分または万葉線「片原町」から徒歩約10分。
山町筋までのアクセス
●高岡まで鉄道を利用してアクセスする場合
北陸新幹線「新高岡駅」から、加越能バスに乗車し「木舟町」バス停で下車してすぐ。
あいの風とやま鉄道「高岡駅」から徒歩約10分または万葉線「片原町」「坂下町」から徒歩約3分。
●富山きときと空港から車を利用する場合
北陸自動車道「高岡砺波スマートIC」から車で約20分。
金屋町は「金屋緑地公園駐車場」を利用。
山町筋は「山町筋観光駐車場」を利用。
※どちらの駐車場も無料
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高岡まちなか乗り放題1日フリーきっぷ
金屋町や山町筋と一緒に、瑞龍寺や高岡大仏など高岡中心部の観光地をめぐりたい方は、お得なきっぷの利用がオススメです。路線バスと路面電車の万葉線が1日乗り放題(区間は限定)になりますので、ぜひチェックしてみてください。
もっと見る千本格子の町並みが続く、高岡市金屋町
加賀前田家の2代当主である前田利長が、高岡を開いてすぐに産業振興のために7人の鋳物師(いもじ)を招いて鋳物場を造ったのが、金屋町と高岡銅器の始まりです。現在は工場の多くが郊外へ移転しましたが、金屋町に残る鋳物場は今もかつての雰囲気を残しています。金屋町は縦の目が細かく組目模様が美しい千本格子の家や商店と石畳の通りが大切に保存されていて、歩いていると石畳のなかに星やハートの形をした銅のかけらを発見することもできます。
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錫の鋳物体験
「鋳物工房 利三郎」では錫の制作体験ができます。制作できるのは、ぐい呑みや小皿など。デザインを決めたら、釘のような棒で砂型を削ります。型が完成したら、店主の神初さんが目の前で錫の塊をバーナーで溶かしてくれました。錫の流し込みの作業は少し緊張しますが、そばで見ていてもらえるので安心。錫が固まったら型から外し、約1時間ほどの制作体験は終了。
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砂型を削る
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錫を溶かす
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錫を流し込む
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砂型から外す
仕上げに形を整えてもらうので、完成品の受け取りは30分〜1時間後です。※発送も対応可能
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錫のアクセサリー作り体験
金屋町のメイン通りにある「大寺幸八郎商店」では、錫のアクセサリー制作体験ができます。錫の柔らかい質感を活かし、曲げたり叩いたりしながらオリジナルの形に仕上げましょう。
もっと見る150年の歴史を持つ、鋳物工場を見学
「鋳物工房 利三郎」は、現在も金屋町で鋳込みをする数少ない工場です。事前にお願いしておけば、体験の合間にお店の奥にある工場を見学させてもらうことができます。高岡銅器伝統工芸士にも認定されている店主の神初さんが、双型や砂型といった高岡の職人が受け継いできた伝統的な鋳造方法を、実際に使う道具を手にして説明してくれます。
土蔵造りの町並みが残る、高岡市山町筋
山町筋は1609年に高岡が開町した際に、前田利長が近隣から町人を招いて住まわせた商人の町で、江戸から明治にかけて発展しました。御馬出町から小馬出町にかけての通りには、土壁の上に漆喰(しっくい)などを塗って仕上げた土蔵造りの建物が現在も残されています。1900年に大火に見舞われたことから、防火意識の高い商家が多く見られるのが特徴です。山町の名は、重要有形・無形文化財に指定されている「高岡御車山祭」の御車山を継承していることが理由にあります。
御車山の迫力に圧倒される
毎年5月1日に実施される「高岡御車山祭」で巡行する御車山を、年間通して展示している施設が山町筋にあります。御車山の山車にはものづくりのまち・高岡の工芸技術が結集しており、金工細工や漆芸など地元の職人たちが磨いた伝統技術が随所に用いられています。高さは8〜9m、車輪だけでも直径約2mもあり、人の手だけで曳き回すとは思えないほどの迫力です。※展示してある御車山は時期によって異なります。
山町筋の観光拠点「山町ヴァレー」を満喫
「山町ヴァレー」は、かつての大型商家をリノベーションした複合商業施設。山町筋に面して洋風建築のビルがあり、奥は土蔵群になっています。飲食店やランニングショップなど8店舗が入っています。
通り沿いにある「クラフタン」では、富山の郷土食である昆布締めを味わえます。富山では刺身や野菜、山菜を昆布で締めて食べる風習があり、穏やかな昆布の旨味がしみ渡った魚や野菜は絶品です。
中庭に面した「Orii garally」では、時計や名刺入れ、花器など、高岡鋳物の伝統技法で着色したオリジナルの製品が見られます。
高岡らしさを感じる、旅土産を見つける
老舗菓子店「大野屋」で明治期に誕生した「とこなつ」は、越中の国守を務めた万葉の歌人・大伴家持の歌から名をとった銘菓で、長年に渡って愛されています。近年は、御車山などをモチーフにした「高岡ラムネ」が人気だそう。御車山パッケージのラムネには、鉾留(ほこどめ)や加賀藩の梅鉢紋(うめばちもん)などをモチーフにしたラムネが入っています。「高岡ラムネ」は、富山県の米粉や高岡の国吉りんごの果汁を原料にしています。
高岡大仏や瑞龍寺へもアクセスしやすい
高岡鋳物が生まれた金屋町、商人の町として発展を遂げた山町筋の町歩きはいかがでしたか。山町筋から歩いて10分ほどの場所には日本三大仏に数えられる「高岡大仏」があり、あいの風とやま鉄道を挟んで反対方向へ行くと、国宝「瑞龍寺」も拝観できます。高岡を訪れた際は、一緒にめぐってみてください。