旅の魅力を耳で感じる! 富山を代表する民謡「おわら」「こきりこ」「むぎや」
富山には「越中おわら節」「こきりこ」「麦屋節」などの日本を代表する民謡をはじめ、古くから伝わる民謡が数多く残り、“民謡の宝庫”といわれています。豊かな自然と風土によって育まれ、脈々と唄い踊り継がれてきた民謡は、今でも多くの人々に愛されています。富山を訪れて、古き良き日本の伝統文化の魅力を間近で感じてみませんか?
越中おわら節
「越中おわら節」は、富山市八尾地域で唄い継がれている民謡。その起源は江戸時代にまで遡るといわれており、既に300年以上の歴史があります。大正から昭和にかけて洗練され、時代に沿って変化を遂げながら今日まで育まれてきました。
唄は、叙情豊かで気品が高く、哀調の中に優雅さを秘めた曲調。伴奏は、三味線・胡弓(こきゅう)・太鼓によって奏でられ、独特かつ繊細な胡弓の響きが哀愁を添えています。
この唄の旋律にのせて踊り手が踊りを披露する「おわら風の盆」は人々を魅了し、毎年全国から多くの観光客が訪れます。
おわら風の盆
越中八尾は富山市南西部の山あいの坂の町。毎年9月1日から3日にかけて行われる「おわら風の盆」では、昔ながらの家並みが続く石畳の坂道に数千のぼんぼりが立ち並び、地方衆が奏でる哀調あふれるおわら節の旋律にのせて踊り子たちが踊りを披露します。揃いの法被や浴衣姿に、編み笠を目深にかぶった男女の踊り子が、三味線や胡弓の音にあわせ町中を踊り歩く「町流し」は必見。艶やかで優雅な女踊りや、ダイナミックで力強い男踊り、地方衆の哀愁漂う唄や音色が見る者を魅了します。夜には、町中を彩るぼんぼりの灯りにしっとりと優美に舞う踊り子たちの姿が浮かび上がり、実に幻想的。心に響く幽玄の世界に酔いしれずにはいられません。
300年以上踊り継がれてきた歴史ある「越中おわら」を、ぜひ堪能してください。
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おわら風の盆 前夜祭
9月1日~3日の本番に向けて熱気が高まる中、8月20日から11日間にわたって行われる前夜祭。期間中は各町が毎晩持ち回りで、開催町の通りで町流しや輪踊りが繰り広げられます。前夜祭といえど、盛り上がりは本番さながら。本番に来られない方も、おわら風の盆の魅力をじっくりと味わうことができます。
もっと見るおわらや越中八尾エリアを堪能できるスポット
「おわら風の盆」の時期以外にも、おわらや越中八尾の魅力を堪能できるスポットがたくさん!風情あるまち並みが残る越中八尾で、江戸時代から続く町人文化を感じてみてください。
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八尾おわら資料館
もっと見る八尾の伝統的な町屋を再現した施設。貴重な資料を多数展示し、おわらの歴史や唄・踊り・衣装・楽器などを紹介しています。大型スクリーンの映像やVR体験で、臨場感たっぷりの演奏や踊りを体感できます。
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八尾曳山展示館
もっと見る曳山祭で使用される絢爛豪華で迫力ある八尾曳山3台を常設展示。八尾の経済を支えた養蚕の展示や、地元画家「林秋路」の作品を見ることができます。
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桂樹舎和紙文庫
もっと見る昔からの手漉きの伝統が受け継がれ、国の伝統工芸品にも指定されている「八尾和紙」。大正時代の趣感じるレトロな建物には、博物館や和紙加工品ショップも併設。予約すれば紙漉き体験も可能。
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越中八尾ベースOYATSU
もっと見る1872年に建造された商人の住居を再利用した、一棟貸しの体験型宿泊施設。併設されたカフェの他、ライブや寄席などのさまざまなイベントが開催され、八尾の観光拠点としても利用できます。
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おわらのまち歩き
おわらの舞台となる八尾の町。日本の道百選にも選ばれた石畳の道に、白壁と格子戸の建物が並び、江戸時代の町並みの佇まいを残しています。静かな町筋に「エンナカ」と呼ばれる用水路を流れる心地よい水音が響き、日本の原風景を垣間見ることができます。風情を感じながら趣のある町並みをのんびり散歩してみては。
こきりこ
南砺市五箇山地方に伝わる民謡「こきりこ節」。農作業の間に行われた田楽や田踊りなどから派生したと伝えられ、日本で最も古い民謡といわれています。学校の音楽の教科書に取り入れられ、全国的にも広く知られるようになりました。
「こきりこ」とは竹を打ち鳴らす楽器で、演奏には他にも鍬金・棒ざさらなどの古代楽器や、しの笛・太鼓・鼓などが用いられます。さらに、こきりこを唄い舞う際に欠かせないのが「ささら」。人間の煩悩と同じ108枚の桧板を束ねて編んだ楽器で、素朴な響きが郷愁を誘います。毎年9月に行われる「こきりこ祭り」では、五穀豊穣を祈り祝う奉納踊りが披露され、人々を魅了します。
こきりこ祭り
毎年9月25日、26日に開催される「こきりこ祭り」。五箇山の祭りの中でも麦屋まつりに並ぶ、代表的な祭りです。白山宮境内前には屋台が立ち並び、特設ステージでの民謡披露のほか、獅子舞奉納などが行われ盛り上がりをみせます。
哀調を帯びたこきりこの旋律にのせて、優雅でキレのある舞が奉納され、観る人を魅了します。祭りのフィナーレを締めくくるのは「こきりこ総踊り」。踊り手が輪になり、会場全体でこきりこを踊ります。さらに観客もその輪に入り、ささらを鳴らしながら踊ることができます。見るだけでなく、一緒に踊ってこきりこを楽しみませんか?
麦屋節
南砺市五箇山地方に伝わる麦屋節(むぎやぶし)。こきりこ節とともに五箇山地方を代表する民謡です。その昔、五箇山に逃れた平家の落人が刀や弓矢を鍬や鎌に持ち替え、麦を刈る時に、都での栄華を偲んで唄ったのが始まりと伝えられています。
紋付・袴・白たすきに刀を腰に差し、笠を手にした男衆が勇壮に舞う姿は、まさに武士の風格。麦屋節には笠踊りで知られる唄の他にも、麦屋節の元祖とされ楽器の演奏や踊りのない「長麦屋節」、早いテンポで女性が軽快に踊る「早麦屋節」などがあり、毎年9月には「五箇山麦屋まつり」や「城端むぎや祭」で披露されます。
麦屋節の祭り
五箇山と城端では、毎年9月下旬に麦屋節が主役のお祭りが行われ、勇壮で優美な踊りが繰り広げられます。
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五箇山麦屋まつり
もっと見る五箇山の秋の風物詩。風情ただよう神社の境内で、哀調を帯びた調べにのせて勇壮な舞が繰り広げられます。地元の民謡保存団体による「舞台競演」では、麦屋節をはじめ五箇山民謡の数々が堪能できます。
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城端むぎや祭
越中の小京都、城端で開催され、勇壮な踊りが町の至る所で繰り広げられます。情緒あふれる街並みで、各町内や民謡団体がむぎや節などを披露する「街並み踊り」は必見!
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城端に伝わる五箇山の文化
秘境・五箇山から最も近いふもとの町である城端は、いくつもの峠を越える旧五箇山街道で結ばれており、五箇山からは蚕から採る生糸や和紙を、城端からは米や生活物資を運ぶなど、古くから深い交流がありました。
麦屋節をはじめ、こきりこ節、といちんさ節などいくつかの五箇山民謡も五箇山地区より伝わり、城端で唄い継がれています。
こきりこ・麦屋節や五箇山エリアを堪能できるスポット
こきりこ、麦屋節など多くの民謡が伝わる五箇山は、自然豊かな美しい景観、さらには歴史ある合掌造り集落や、受け継がれる伝統文化など、見どころ満載!
世界遺産・五箇山ならではのゆっくりと流れる時間をご堪能ください。
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世界文化遺産 五箇山の合掌造り集落
1995年に世界文化遺産に登録された五箇山合掌造り集落。「相倉」と「菅沼」の2つの集落では、先人たちの生きる知恵が息づく合掌づくり家屋が立ち並び、今も人々の生活が営まれています。美しくどこか懐かしい景観は、日本の原風景そのもの。また、多くの民謡や伝統工芸など独自の文化が育まれ、時代を越えて今なお息づいています。
世界遺産・五箇山を歩いて、山里の素朴な暮らしと伝統文化に触れてみませんか。