歴史文化だけじゃない。世界遺産・五箇山のある南砺市で楽しむアドベンチャートラベル
絹織物や木彫刻などの伝統が脈々と受け継がれ、世界遺産の合掌造り集落がある五箇山エリアを内包する、富山県南西部の「南砺市(なんとし)」。歴史文化が息づくまちとして知られている一方で、雄大な自然も魅力的なエリアです。
そんな「南砺市」では、歴史文化に加え、自然をアクティブに楽しめるツアーが年間を通じて開催されています。ツアーの内容を中心に、おすすめスポットやグルメ、おみやげ、宿泊施設と幅広くご紹介します。
南砺市ってどんなまち?
岐阜県と石川県に隣接し、白川郷や金沢へのアクセスも便利な立地にある「南砺市」。
主に7つのエリアで構成され、平野部に広がる門前町や商店街ではレトロなまち歩きの他、城端絹や井波彫刻といった工芸品作りを実際に体験したり職人さんの作業風景を見たりと、伝統文化が息づく日常を肌で感じることができます。
そして、山間の庄川周辺や世界遺産の合掌造り集落がある五箇山は、秘境に宿る文化とともに雄大な自然を五感で感じられるエリア。
歴史あり、伝統文化あり、自然ありと、魅力あふれるまち。それが「南砺市」です。
歴史文化+自然を楽しむツアーが開催中
「南砺市」では、五箇山エリアを中心に伝統文化に限らず自然も含めて満喫する新たな旅のスタイル“アドベンチャートラベル”を楽しんでもらおうと、さまざまなツアーが開催されています。
今回はグリーンシーズンとウインターシーズンそれぞれのおすすめツアーをご紹介します。
五箇山を巡るサイクリングツアー
1,500m級の山々に囲まれた合掌造り集落が現存する「五箇山」エリア。相倉と菅沼の2つの集落は世界文化遺産に登録されており、今も約90人の地元の方々が生活しています。
合掌造りの家屋が点在する古き良き日本の原風景や営みや伝統文化とともに、新緑や紅葉で彩られた自然を楽しめるのが、ガイド付きのサイクリングツアーです。
例年5〜11月の毎週土曜日に開催され、電動アシスト付きスポーツバイクのE-bikeに乗って地元ガイドさんの案内で五箇山エリアを巡ります。
サイクリングツアーは、五箇山総合案内所から世界遺産の合掌造り集落の一つである菅沼合掌造り集落を目指す往復13kmのコース。地元のガイドさんがE-bikeの操作方法を丁寧に教えてくれる上、サポートカーが同行するので、初心者でも安心して参加することができます。
菅沼合掌造り集落の景観や散策はもちろんですが、庄川峡や合掌造り集落を俯瞰する絶景スポット、壮大な小原ダム、五箇山に伝わる民謡が流れる湯出島橋など、見どころにあふれています。
車だと通り過ぎてしまうようなポイントでも、自転車であれば気軽に立ち寄ることができます。ガイドさんにとっておきの場所へ連れて行ってもらいましょう。
五箇山エリアの他、蔵や石畳が残る城端エリアを巡るコースもあります。ツアーの詳細やお申し込みは下記のサイトをご覧ください。
Column
世界遺産「五箇山」で絶景サイクリング!なんチャリツアー「E-bikeで走る!世界遺産・五箇山でサイクリング」に参加してみた
地元ライターが「五箇山」エリアのE-bikeツアーを詳細にリポートした、こちらの記事も要チェック!
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「五箇山」は、冬には2〜3mもの雪が降り積もる地域。
合掌造りはその名の通り、手を合わせたような形で、急勾配のかやぶき屋根が特徴です。集落に点在する建物の多くは100〜200年前に建てられ、古いもので築350年余を数えます。雪を落とすように設計された頑丈な造りの建物には、豪雪地帯で生きるための知恵が結集されているのです。
雪深い地域ならではの道具の一つに「かんじき」があります。木枝を楕円形に曲げたもので、西洋かんじきのスノーシューに対し“わかんじき”とも呼ばれます。深く積もった雪の上でも足が沈むことなく歩行が可能で、五箇山エリアでは日常的に使用されているそう。
この「かんじき」を履いて、雪の五箇山を歩いて遊ぶガイドツアーが、例年1〜3月に菅沼合掌造り集落近くの「五箇山合掌の里」周辺で開催されています。
菅沼合掌造り集落の近くに位置する「五箇山合掌の里」には、13棟の合掌造り家屋が保存されています。かんじきツアーではこの「五箇山合掌の里」を起点に周辺の雪原を散策。高低差がほとんどないため、初心者でも大丈夫。地元ガイドさんの案内のもと、豪雪地ならではの景色や雪を踏みしめる感触を楽しみます。
夏場は薮に覆われ立ち入ることができない場所も歩くことができ、至る所で可愛らしい足跡が見られます。ガイドさんからどんな動物が何をしていたのか教えてもらいましょう。
ツアーの途中では、雪のテーブルを作り温かいコーヒーを味わいます。ほっと一息ついたら、スノーボードの原型と言われる「ベンタ」を使い、五箇山エリアで昔から親しまれる雪遊びを体験。緩斜面を思い思いに滑ります。
ツアー参加の際は、スキーウエアなどを着用し、長靴もしくはスノーブーツを履いて、防寒・防水対策は万全に。ツアーの詳細やお申し込みは下記の南砺市体験ツアー公式サイトをご覧ください。
おすすめの宿泊施設
サイクリングツアーの発着点である五箇山総合案内所から車でおよそ10分に位置し、かんじきツアーでは起点となる「五箇山合掌の里」。13棟ある合掌造りの家屋のうち、3棟はコテージとして活用されており、1棟貸し切りで宿泊することができます。
1階には囲炉裏のある居間や客室、バス・トイレ、冷蔵庫や電子レンジなどが付いたキッチンが備わっています。2階の和室でも寝泊まりが可能です。かやぶき屋根の内部や釘や金具を使わない合掌造り特有の建築美を見ることができます。
素泊まりの他、夕朝食付きのプランを選べば、地元特産品をふんだんに使った料理が味わえます。合掌造りに泊まり五箇山の生活を体験する、特別な時間を過ごしてみては。
ツアーの前後に楽しみたい観光スポット
五箇山エリアには、世界遺産の2つの合掌造り集落の他にも、合掌造りの建物を活かし、地元の歴史や産業を伝えるスポットが数多くあります。
温泉が堪能できるのも五箇山エリアの魅力です。日帰り温泉施設の「くろば温泉」は、四季折々の山肌を映す小原ダム湖の眺望が広がる露天風呂が人気です。
おすすめのグルメ
大人気の「あんドーナツ」や地元特産品の「ぼべら」(五箇山地域の方言でかぼちゃのこと)を使ったソフトクリームなどのスイーツは、旅の途中にぜひ食べたいところ。
山々の清らかな伏流水で育ったイワナの鮮度そのままにいただく「いわな寿司」や、伝統的な製法で作られ縄で縛ることができるほど固い「五箇山豆腐」など、この地域ならではのグルメも外せません。
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あんドーナツ
羽馬製菓地元の名店「羽馬製菓」で製造販売される「あんドーナツ」。表面の絶妙なサクッと感と甘すぎない餡子に食べる手が止まらない逸品。
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ぼべらソフトクリーム
お土産あらい菅沼合掌造り集落の「お土産あらい」などで夏季に販売される「ぼべらソフトクリーム」。「ぼべら」本来の甘さが味わえます。
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いわな寿司
五箇山旬菜工房 いわな「道の駅 上平」内にある飲食店「五箇山旬菜工房 いわな」で提供する「いわなのにぎり」。店内の生け簀(いけす)に泳ぐ新鮮なイワナを捌いて寿司に。プリプリの食感がたまりません。
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五箇山豆腐
喜平商店各飲食店や宿泊施設、豆腐店で食べられる地元名物の「五箇山豆腐」。おみやげとしても喜ばれています。
おすすめのおみやげ
伝統産業である「五箇山和紙」は「越中和紙」として国の伝統工芸品に指定され、温かな風合いと丈夫さが特徴。雑貨小物などさまざまな製品が作られています。
五箇山の清流と厳しい寒さで醸す「三笑楽」は人気の銘酒です。限定品を手に取ることができるのも現地だからこそ。とちの実を使った里山の味「とちもち」は香ばしさがクセになる名物。五箇山の自然の恵みをおみやげにどうぞ。
南砺市へのアクセス方法
鉄道でお越しの場合は、北陸新幹線の「新高岡駅」からJR城端線に乗り換えると、南砺市内の各エリアの最寄り駅にアクセスできます。
五箇山エリアまでは北陸新幹線の「新高岡駅」やJR城端線の「城端駅」などを経由する「世界遺産バス」の利用が便利です(予約不要)。
南砺市の各エリアに直結するインターチェンジは「南砺スマートIC」「福光IC」「城端スマートIC」「五箇山IC」の4つ。五箇山エリアの最寄りは「五箇山IC」です。
ツアーの申込みや宿泊などのご相談は南砺市観光協会へ
サイクリングやかんじきなどの他にもさまざまなツアーが開催されています。
南砺市のツアー一覧やグルメ、おみやげ、宿泊施設などの詳細な観光情報は、南砺市観光協会の公式HPをチェックしてください。
まとめ
脈々と受け継がれる伝統文化と豊かな自然のどちらも楽しめる「南砺市」。
サイクリングやかんじきウォークといったアウトドア体験を通じて、いつもの旅より深くこころに残る特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
「南砺市」の魅力をまるごと味わい、まちを好きになり、第二の故郷のように「また訪れたい」。そう思っていただけたら幸いです。