「雷鳥」に会いに行こう！絶滅危惧種の特別天然記念物「雷鳥」の生態に迫る！

雷鳥（ライチョウ）は、日本の高山地帯やヨーロッパ、北アメリカなど北半球の北部に生息する、鳥綱キジ目キジ科に属する鳥です。学名はLagopus muta（「ウサギの足」「無声の」）で、指先まで羽毛が生えた足と、普段あまり鳴かない特徴を表しています。
日本へは5万年前の最終氷河期に樺太やカムチャッカ半島を経由して本州の高山地帯に定住し、氷河期後も残った一部が雷鳥の南限として現在も生息していると考えられています。これらのニホンライチョウは日本固有亜種として国の特別天然記念物に指定され、絶滅危惧種として保護されています。

日本の雷鳥は、標高2,300m以上の高山帯で生活し、1年に3度羽が抜け替わり、極端に体色が変化する珍しい鳥です。
純白の羽毛に覆われた冬から、春になると腹を中心に白い羽毛を斑に残しつつ、オスは黒褐色、メスは黄褐色に抜け替わり繁殖期を迎えます。繁殖期を終えると、秋に向けてオスもメスも識別がしにくくなるほど同様の暗褐色に抜け替わり、冬の初冠雪の季節に合わせるように暗褐色が抜け始め、11月中旬頃には再び純白の羽毛となり冬を迎えます。
このように、季節に応じて体の色を周囲の岩場や雪景色に似せることで、猛禽類やキツネといった外敵から身を守っています。
雷鳥のオスとメスの違いが顕著に表れるのは繁殖期で、羽毛の色に加え、オスは目の上にある赤い肉冠がはっきりと膨らみ、鮮やかになります。

高山帯に生息する雷鳥は、水浴びの代わりに砂浴びをすることで知られています。
柔らかく乾いた土や砂の窪みに座り、体を左右に振りながら翼に砂を擦りこむように動きます。これは、羽毛に付着した寄生虫を払い落とし、羽毛の余分な油分を取り除き、清潔さと健康を保つための行動だとされています。登山道の周辺などで、一心不乱に砂浴びをする雷鳥に出会えるかもしれません。

富山県では、主に20の山岳で1281羽の雷鳥が確認されています。（※レッドデータブックとやま2012のデータで、現在改訂中です。）
1923年に国の天然記念物に、1955年に国の特別天然記念物に指定されています。1993年には種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定され、雷鳥の保護に向けたさまざまな取り組みも行われています。

雷鳥は富山の県鳥にも指定されており、観光地では立山黒部アルペンルートの室堂平周辺で雷鳥に出会えることがあるほか、雷鳥をモチーフにしたキャラクターや電車の名前などでも目にすることが多く、富山県民にとても愛されていることがわかります。

雷鳥が生息する高山帯に行くには本格的な登山が必要ですが、富山の立山黒部アルペンルートなら乗り物を利用してアクセスできます。
立山周辺では、5月中旬から7月上旬にかけての繁殖期が最も観察しやすい時期です。特に、5月中旬から6月にかけてはオス同士の縄張り争いが見られ、7月から8月上旬にかけてはヒナが孵化し、親子の雷鳥が観察できる可能性が高まります。ハイマツが生い茂る遊歩道をゆっくり散策しながら、カメラを構えた人が集まる場所を探すのもポイントです。
さらに、雷鳥に出会う確率を上げるには、人が少なく、雷鳥が警戒しにくい平日や早朝がおすすめです。天候の悪い日でも、雷鳥は目につきやすい場所に出てくることが多く、目撃情報も多いです。近くにいても気がつかないことがあるため、すぐそばの植生にも目を向けてみてください。

雷鳥観察は、「人が雷鳥の住処にお邪魔している」という気持ちを忘れず、必ずマナーを守って静かに見守りましょう。

室堂平一帯を「ライチョウ国」と見立てたエコミュージアムでは、ハイビジョン映像や大型ジオラマを通じて立山の自然や地形の紹介や、雷鳥や高山植物など、立山の貴重な動植物の展示・解説、室堂平周辺のフィールド情報を提供しています。
雷鳥の最新目撃情報も集まっているため、室堂ターミナルに到着したら、最初に訪れて情報収集をしてからフィールドに出れば遭遇確率がアップします！さらに、雷鳥の目撃情報を投稿すると、3階で「ライチョウ観察記念のシール」が貰えます。

春から秋にかけて、富山県の立山連峰などでは雷鳥を観察することができ、特に室堂周辺は人気のスポットです。季節によって羽毛の色を変え、雪の中では純白、夏の岩場では茶色や灰色の保護色に身を包む雷鳥の姿を観察しながら、たくさんの見所がある立山黒部アルペンルートの大自然をぜひお楽しみください。

立山黒部アルペンルートの様子を動画でも紹介しています。
かわいらしい雷鳥も姿を現してくれました。

 

 

 

 

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