寿司と自然・歴史・文化の、美味しい関係に出会う旅
1泊2日旅【黒部・魚津・富山編】-1

寿司と自然・歴史・文化の、美味しい関係に出会う旅
1泊2日旅【黒部・魚津・富山編】


富山県は、標高約3,000mの立山連峰から、水深約1,000mの富山湾に至る「高低差4,000m」の地形が、水や作物、海の幸などの多彩な恵みを生み出しています。また地域ごとに豊かな自然や風土、歴史を背景にした魅力あふれる文化や習慣が育まれ、大切に受け継がれてきました。

「天然のいけす」と言われる魚種の豊富な富山湾の魚介、肥沃な大地や雪解け水によって育まれるお米で握った寿司を楽しみながら、富山の個性や素晴らしさを発見する旅に出かけませんか。地域の人たちの暮らしぶりを知る何気ないひとときが、旅に豊かさをもたらし、心に残る思い出を作ってくれるはずです。

それでは、1泊2日のモデルコース旅に出かけましょう。


モデルコースの巡り方

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10:00 ー 魚の駅 生地周辺|【暮らし】
目の前を漁船が往来する、清水の湧く港町


北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅から向かったのは、黒部市にある生地漁港の周辺。海のそばには漁船が通るときに人や車の通行を止める「旋回式可動橋(生地中橋)」もあり、町全体が港町ならではの景色に包まれています。目の前から漁船が出港したり浜のお母さんが作業する姿も間近で見られますよ。

この辺りは「清水(しょうず)の里」と呼ばれ、あちらこちらから冷たく澄んだ水が自噴し、「黒部川扇状地湧水群」として環境省の名水百選にも選定されている地域。海辺の『魚の駅 生地』では、新鮮な魚介や手作り干物などが販売されています。

 

【トピックス】


黒部市内路線バスが、北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅と『魚の駅 生地』を約30分でつないでいます。休日に利用する場合は、発車時刻の1時間前までに黒部市タクシー協会へお知らせください。

10:30 ー 皇国晴酒造|【水の豊かさ・地酒】
富山県唯一の女性杜氏が、湧水で地酒を醸す


生地漁港の側には、江戸時代の古地図にも名前が残る日本酒の蔵元『皇国晴酒造』があります。富山県唯一の女性杜氏である岩瀬由香里さんが蔵人たちとともに、港町の魚料理に合うさっぱりとして軽快な味のお酒を醸しています。敷地内には湧水の水源が3つあり、仕込み水には地下50mから湧く名水が使われています。

平日や扉が開いている日は、敷地内にお邪魔して「岩瀬家の清水」を飲むこともできます。瓶内で二次発酵するタイプや果汁を加えたお酒など、少量しか醸造せず、地元でしか流通していないお酒もあるので、お店も覗いてみましょう。

11:00 ー 四十物こんぶ|【食文化】
富山県民が愛する昆布の旨さを知る


昆布専門店『四十物(あいもの)こんぶ』も、生地漁港のすぐ側。全国的にも昆布の消費量が多い富山県には「昆布締め」と呼ばれる郷土料理があり、白身魚や山菜を昆布で挟み、旨みを染み込ませて味わいます。そのため昆布締めの魚介が、握り寿司のネタになっていることもあります。

『四十物こんぶ』には富山県民が白ごはんやおにぎりにまぶす「黒とろろ昆布」や、羅臼や利尻、日高など北海道各地の昆布が勢揃い。ガラス越しに昆布を削る姿を眺めることもできます。羅臼昆布は、世界一のレストランと言われるデンマークの『noma(ノーマ)』からも注文を受けています。

12:00 ー 日本料理 海風亭|【豊富な魚種】
魚津の海の幸を、手間暇かけて料理にする


魚津駅の目の前にある『日本料理 海風亭』は、地魚料理が人気のお店。昼は魚津漁港に水揚げされた新鮮な幸をたっぷりと味わえる「海鮮丼」がおすすめです。素材の旨味がしっかりと感じられるように、魚介は地元の甘みのある醤油で漬けにしてから、白ごはんの上に盛り付けてあります。

「ゲンゲの竜田揚げ」は、かつて下の下(げのげ)と言われ捨てられていたゲンゲが美味しく楽しめるように先代が考案しました。ゼラチン質の魚に衣を纏わせると、表面はパリッと揚がるそうで、中はふんわりとして柔らかな食感です。

 

13:30 ー ハマオカ海の幸|【暮らし・水循環】
魚津の水循環によって育まれた地魚を加工


『ハマオカ海の幸』は漁港の真正面で、手作りの干物や加工品を販売しています。冬は魚津で水揚げされた寒ブリを塩で締めて浜風で干した伝統食「寒の汐ぶり」の仕込み時期。たっぷりと脂が乗ったブリを熟成させて、豊かな旨味をじっくりと引き出します。魚津の水や魚が美味しいのは地形との関わりが深く、山間部に降った雨が海底の湧水となっています。

そのため古くから森林保護が行われ、森林を「魚付林(うおつきりん)」と呼んできました。お店でも森林の間伐材をスティックにして「寒の汐ぶり スライス」と一緒に販売しています。

14:30 ー 水だんご専門店 藤吉|【水の豊かさ・食文化】
郷土の味「水だんご」の伝統を受け継ぐ


富山黒部市生地で発祥し、地元で親しまれている「水だんご」という伝統菓子があります。ネーミングは、食べるときに打ち粉を湧水で洗い流すことに由来。富山県産コシヒカリの米粉を、立山連峰の毛勝三山を水源とする水で蒸しあげ、だんごが作られています。

もともと県東部の新川地区で青大豆の生産が盛んだったことから誕生した甘味で、現在は、初代のお店から魚津市にある『藤吉』が機械やレシピを受け継ぎました。かつては夏限定の味でしたが、『藤吉』がレシピをブラッシュアップし、無添加の商品を年間を通して作っています。

15:40 ー 金太郎温泉|
タクシープランを利用し、夕食は地元の人も通う老舗店へ


山裾に建つ一軒宿は、すぐそばにある源泉から引き入れた湯が自慢。広々とした露天風呂や大浴場は硫黄の香りに包まれ、塩分を含んだ泉質なので体が芯まで温まります。掛け流しの湯に浸かって、思い切り手足を延ばしてくつろぎましょう。夕食は、地元の人も通う魚津市内のおすすめ寿司店やタクシー利用もできる「きんたろうチケット」を使って魚津のまちへ。

飲食店の予約や決定は自分自身で行い、夕食の時間に合わせてタクシーを呼んでもらえるというもの。食事を終えたら、再び宿へと戻ります。客室は和モダンな雰囲気で、どの部屋も広々としているのが魅力。心地いいベッドで、朝までぐっすりと眠れます。

18:00 ー 大黒屋寿司店|【食文化】
半世紀にわたり、地物の活魚を握り続ける


「きんたろうチケット」を使って向かう『大黒屋寿司店』は、店主の五十井(いかい)さんが半世紀前に開いたお店です。修業先の東京の寿司店で江戸前寿司の技を磨き、故郷の魚津で創業しました。海からも近く、漁港に出入りする魚屋さんがいつも新鮮な魚介を届けてくれます。握り寿司は、鮮度はもちろん見た目の美しさにもこだわり、笹切りも自らの手で行います。

冬は魚津のブランド魚「寒ハギ」シーズンなので、予約が入れば肝を合わせて味わう薄造りを用意しているそうです。食堂を経営していた五十井さんのお父さんが考案した、手で一貫ずつつまんで味わう「手割り寿司」も名物。宿に持ち帰り、夜食にしても良さそうですね。

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9:00 ー チェックアウト


金太郎温泉から、あいの風とやま鉄道 魚津駅までは無料送迎バスを利用。魚津駅から富山駅までの乗車時間は約25分です。
 

10:00 ー 富山市街地|【地形】
富山市中心部から望む絶景、立山連峰に息をのむ


天候に恵まれれば、富山市中心部からも3,000m級の立山連峰の姿が見えます。路面電車が行き交う彼方に、堂々と立山連峰がそびえるのは西町交差点付近です。

すぐそばに『富山市図書館』や『富山市ガラス美術館』が入る『TOYAMAキラリ』(隈研吾氏設計)がある場所です。路面電車は「鉄軌道王国とやま」を象徴する存在で、沿線の人たちの生活の足になっています。
昔ながらのレトロな装いの車両から、最新型のセントラムまで、さまざまなデザインの車両が行き交っています。

 

12:00 ー 四六八ちゃ|【寿司】
旅の締めくくりも、握り寿司を味わって


『四六八ちゃ』は富山市内に3店舗を構える寿司店。ランチタイムも営業している『四六八ちゃ 個室別館』は、カウンター席と個室に分かれ、ゆっくりと握り寿司を堪能したい人にぴったりです。ネタになる魚介は、富山市にある岩瀬漁港で店主の河上さんが直接競りに参加して仕入れています。

お店では、河上さんが競りで目利きして選んだその日に一番美味しい魚介を握ってくれます。華麗な手捌きを間近で見られる、カウンター席がおすすめです。

 

13:30 ー 富岩運河環水公園|【水循環・暮らし】
水と緑に囲まれた街のオアシス「富岩運河環水公園」

  • 13:30 ー 富岩運河環水公園|【水循環・暮らし】
水と緑に囲まれた街のオアシス「富岩運河環水公園」-0

 もう少し富山県を満喫したいと感じたら、新幹線に乗る前に富山駅から歩いて約10分の場所にある『富岩運河 環水公園』へ出かけましょう。水の豊かさを伝える景色が迎えてくれます。公園内には北前船交易で栄えた富山市岩瀬へ向かう遊覧船乗り場、『スターバックスコーヒー』や富山の食材を使ってフランス料理を提供するレストランもあります。もともと船だまりだった場所が、地域の人の憩いのオアシスになっており、水辺で散歩しているだけで気分転換ができますよ。

 寿司を味わいながら、標高約3,000mの立山連峰から、水深約1,000mの富山湾に至る「高低差4,000m」の大自然が織りなす雄大な景色、心身を癒す天然温泉や郷土食も満喫する、1泊2日の富山旅に出かけませんか? 今まで知らなかった富山の魅力が、たくさん発見できるはずです。

モデルコースMAP

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