観光列車「一万三千尺物語」に乗って、富山の自然と美食を満喫
観光列車「一万三千尺物語」
一万三千尺とは約4,000mのことで、標高3,000m級の峰々が屏風のように連なる北アルプス立山連峰と、「天然の生け簀(す)」と呼ばれる水深1,000mに及ぶ富山湾までの高低差4,000mを表しています。
世界でも珍しく独特な地形を持ったこの富山県の魅力を、車窓からの景色と美食で堪能できるのが観光列車「一万三千尺物語」。
富山駅を出発点に2つのコースが用意されています。
立山連峰と富山湾をデザインした観光列車
「一万三千尺物語」の乗車を申し込むと、乗車の約1週間前に記念乗車証が自宅に届きます。
当日は記念乗車券を手に、あいの風とやま鉄道の改札を抜け、専用受付でチェックインを行います。
あいの風とやま鉄道の改札は、北陸新幹線の富山駅から歩いてすぐにアクセスできる同じ富山駅の構内にあります。
今回ご紹介するのは「富山湾鮨コース」。12:08になると、立山連峰の稜線と富山湾がデザインされた車両が入線してきます。
早速、記念撮影が始まります。
富山県産「ひみ里山杉」を使った上品な内装
乗車すると車内の随所に「ひみ里山杉」を使った落ち着きのある空間に癒やされます。
ボックス席だけでなく大型の窓が取り付けられたロングカウンター席もあり、乗車中にどんな景色に出会えるのか、ますます期待が高まります。
列車が動き出すと、すぐにウエルカムドリンクが運ばれてきます。
ウエルカムドリンクは、予約の際に黒部市の『皇国晴(みくにはれ)酒造』が醸した「幻の瀧 柚子スパークリング」か、高岡市で栽培されたりんごを搾った「くによしリンゴジュース」から選べます。
寿司職人が車内で握る「富山湾鮨」
料理や握りに使われている魚介は、すべて富山湾で水揚げされた海の幸。季節や水揚げ内容によっても種類が変化しますので、どんな魚介を使っているかは当日配られるお品書きをご覧ください。
刺し身や握りの美しさ、質感からも鮮度や品質のよさが伝わってきます。
Column
越中懐石コース
観光列車「一万三千尺物語」には、富山湾の恵みや名水が育んだ農作物、里山の幸をふんだんに盛り込んだ料理が味わえる「越中懐石コース」もあります。
運行は、富山駅を出発して黒部駅で折り返し、高岡駅まで行って再び富山駅に戻るルートです。
富山の蔵元の地酒もおすすめ
車内では富山県内にある8ヵ所の蔵元の日本酒を1.5合瓶で提供しているので、富山湾鮨と一緒に富山の美酒にも酔いしれてみては? ほかにも富山県産のビールやワイン、ソフトドリンクも用意されています。
富山湾鮨の美味しさに夢中になっている間にも「一万三千尺物語」は、どんどん富山県東部へと向かい走行しています。
車内ではガイドさんが、通過する地域にまつわる小話をしていますので、軽妙なトークにもぜひ耳を傾けてください。
立山連峰と青海波の上生菓子に魅了される
食事を終えると、立山連峰と青海波をデザインした上生菓子が運ばれてきます。
富山市にある和菓子店『引網(ひきあみ)香月堂』の店主・引網康博さんが「一万三千尺物語」のために特別にデザインし、手作りしたもの。しっとりとして口溶けのいい餡に魅了されます。
飲みものは、コーヒー、紅茶、緑茶から選べます。なかでも黒部市に本社を置く世界トップシェアのファスナーメーカー『YKK』が、ブラジルの農園で栽培した豆で淹れたコーヒーがおすすめ。
折返しの泊駅、途中の魚津駅に停車
折返しとなる泊駅で車両から下車したら、駅の待合室へ向かいましょう。
近くにあるヒスイ海岸に打ち上げられた大きなヒスイが飾ってあり、実際に触れることができます。
泊駅は「あいのトキめき駅」という愛称を持ち、ここより東側は新潟県の「えちごトキめき鉄道」の車両が運行しています。
そして次に停車したのは魚津駅。
駅に隣接する観光案内所では、観光ガイドの方が魚津市内の見どころを紹介してくれます。
駅前の酒店『エスポアおおさき』は、地酒を豊富に販売しており、お土産として購入もできます。
車窓から富山の景色を満喫
乗客が富山の自然を存分に楽しめるように、観光列車はミラージュランドの観覧車が見える早月川橋梁で徐行運転、黒部川橋梁で停車します。
早月川は水深1,000mの富山湾が間近に見える「一万三千尺物語」屈指の絶景スポット。
天候に恵まれれば富山湾の向こうに氷見市を望めます。
黒部川橋梁の上流には、宇奈月温泉や黒部峡谷、黒部ダムなど、富山を代表する観光地があります。ぜひ上流の地へ思いを馳せながら、列車旅を楽しんでください。
富山の特産品を見て、持ち帰って楽しむ
列車の2号車には鋳物製品や配置薬、高岡市福岡の伝統工芸品である菅笠など、富山県特産品が展示されています。
記念乗車証に捺す乗車スタンプやお土産品を扱う売店も2号車に設置されています。
座席で景色を見ながら寛いでいる時間にも、富山の名所がプリントされた記念ハガキがプレゼントされるなど、次から次へとお楽しみが押し寄せてきます。
食事で使った『富山ガラス工房』の箸置き、『岸田木材株式会社』のひみ里山杉のコースターは持ち帰ることができます。
ほかにも「しろえびせんべい」や観光列車オリジナルのクリアファイル、名所ハガキ2枚など、心にも手にもお土産がいっぱいになります。
思い出いっぱいの観光列車から下車
2時間8分の「一万三千尺物語」の旅があっという間に終了。
富山駅に到着すると、車内アテンダントやガイド、寿司職人さんがホームに出て手を振って見送ってくれて、温かな気持ちになります。
次回は「越中懐石コース」やJR城端線・氷見線を運行する観光列車「べるもんた」にも乗車して、もっと富山の魅力を感じてみたくなりますね。
観光列車「一万三千尺物語」は、土・日曜、一部の祝日に運行しており、「富山湾鮨コース」と「越中懐石コース」の2コースがあります。料金は大人16,500円、小人8,000円。詳細は、公式サイトでご確認ください。
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ご乗車特典について
乗車された方は、いろんな特典を受けられます。当日は、あいの風とやま鉄道の乗車が無料(ライナー除く)になるほか、美術館や博物館、富岩水上ラインが割引料金で利用できます。駅前にある商業施設の200円割引クーポンのプレゼントもあります。
ご乗車特典