「お※食堂」店主 中野小百合さん
富山平野のほぼ中央に位置し、豊かな自然と田園風景、そして雄大な立山連峰を望むことができる舟橋村(ふなはしむら)。全国に約1,700ある自治体の中でも「日本一小さな村」としても有名です。
地元のお米と県産食材にこだわったお弁当を提供する「お※食堂(おこめしょくどう)」の中野さんにお話をお聞きしました。
ちいさな村のちいさなお店
舟橋村生まれ、舟橋村育ちの中野さんは、舟橋村唯一の駅である富山地方鉄道本線「越中舟橋駅(えっちゅうふなはしえき)」の一角で小さなお店「お※食堂」を営んでいます。お店では舟橋村産のお米を使ったお弁当や、富山県産の米粉を使ったお菓子などを提供しています。
食堂を始めたきっかけは、地域おこしなどを考えるさまざまな会議に参加したことだったそう。
「地域を盛り上げるためにいろいろな案が出ましたが、すでにある舟橋の魅力を発信したいと考えた時に、舟橋のお米が思い浮かびました」。せっかくおいしいお米があるにも関わらず、あまり有名ではないと感じていた中野さんは、「それなら自分が発信しよう!」と思い立ちます。持ち前のチャレンジ精神や、越中舟橋駅の店舗スペースが空いたタイミングだったことが重なり、2018年に「お※食堂」をオープンしました。
トレーナーとして「食の大切さ」を学ぶ
もともとスポーツアロマ・コンディショニング®トレーナーとして、アロマオイルの効果を利用した早期疲労回復やけが予防といったケアを行うサロンを行っていた中野さん。現在もサロンを経営しており、体の可動域のコンディションを整えるためにプロスポーツ選手やスポーツの全国大会に出場する学生も多く訪れるそうです。
「体のケアを行う仕事をしているため、『お※食堂』を始める前から食の大切さについては学んでいました」と話します。特に「体にとって悪いものをやめる」ために、日々の食事に不可欠な調味料に着目していました。
糀とお米にこだわったメニュー
お※食堂ではオープンしたときからのこだわりで、“非加熱の糀”を使った調味料を使っています。糀は高温になると酵素が働かないそうです。非加熱の糀を使うことで、酵素の働きによりタンパク質や炭水化物がアミノ酸やブドウ糖に分解されます。これによってお肉が柔らかくなったり、うま味や甘味が引き出されておいしくなるそうです。糀は北陸唯一の種麹店である「石黒種麹店(いしくろたねこうじてん)」のものを使っているそうで、ここでも県産にこだわります。
お店を始めるきっかけである「お米」にもこだわりがあります。舟橋村産の「コシヒカリ」と富山県の新品種「富富富(ふふふ)」を使用しています。舟橋で収穫されたお米を無洗米として真空パックにした商品もあり、村のふるさと納税の返礼品としてとても人気だそうです。
大好きな舟橋村を発信する
舟橋村の魅力を尋ねたところ、「空気感と景色の良さ」と答えてくれました。
時間がゆっくり過ぎるようなのどかさや、パノラマが広がる立山連峰の絶景がここにはあるのです。「自宅の隣に流れる川ではホタルも出てきます。ホタルが舞うほどのきれいな水で育った舟橋もお米はおいしいに決まっていますよね」と笑いながら話す中野さん。
好きな言葉だという「温故知新」の通り、これまでも舟橋にあった魅力を、自分ならではの発信方法で伝えていきたいと期待に胸を膨らませます。