富山城に行く前に知っておきたい8つのこと。歴史、アクセス方法、見どころ、イベント情報などを紹介
続日本百名城に選ばれた「富山城」は、歴史を語り継ぐ“富山のシンボル”。現在は「富山城址公園」として整備され、観光客や市民に広く親しまれています。
そんな「富山城」を訪れる前に知っておきたい歴史やアクセス方法、見どころ、イベント情報などをご紹介します。
富山城の歴史
富山市の中心部に位置する「富山城」は、1543年(天文12年)に越中国西部の守護代・神保長職(じんぼうながもと)によって築城されました。
戦乱の世、上杉氏や織田信長の家臣・佐々成政(さっさなりまさ)といった度重なる城主の交代。1585年(天正13年)には豊臣秀吉の征討を受け破却となりましたが、次に統治を担った前田利長が修築を図ります。
大火による焼失や一国一城令による一時廃城を経て、再び改修された「富山城」。1639年(寛永16年)の富山藩成立以来、約230年の間、前田家の居城とされました。
1873年(明治6年)、廃城令により取り壊されることとなりましたが、旧本丸御殿は当時の県庁舎として活用され、地元有志が城址の景観整備に当たるなど、富山城を後世につなぐ活動が行われました。
昭和期には空襲を受けましたが、城址やその周辺は復興され、1952年(昭和27年)に「富山城址公園」として開園。1954年(昭和29年)には、戦災復興事業完了を機に開催された「富山産業大博覧会」を記念し、現在の『富山城』(天守閣)が建築されました(国の登録有形文化財)。
アクセスと基本情報
【アクセス方法】
・JR「富山駅」から徒歩約10分
・富山空港から連絡バスで約20分「城址公園前」下車、徒歩約2分
・富山地方鉄道市内電車環状線「国際会議場前」下車、徒歩約2分
・富山地鉄バス「城址公園前」下車、徒歩約2分
・北陸自動車道「富山IC」から車で約15分
※富山城址公園地下駐車場(有料)の他、近隣にコインパーキング多数
【基本情報】
富山城址公園内の富山城・富山市郷土博物館・佐藤記念美術館は、いずれも、
・営業時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
・年末年始休館
・入館料:大人210円、高校生以下無料(特別展開催期間は料金変更)
※富山県内の協賛施設で割引や特典が受けられる「ジョイフルカード」が利用できます
富山城の見どころ① 建築と構造の特徴
富山城址公園の東側に建つ「千歳御門」は、「三間薬医門」と呼ばれる格式高い城門建築。総檜造りで、屋根には赤れんがが用いられています。
富山城唯一の現存する建築遺構で、当時の息遣いを今に伝えています。
富山城を囲む石垣も注目すべきポイント。自然石を使った「野面積み」で、河川の玉石の丸みを残しているのが富山城ならではの特徴です。正方形や長方形に石を加工して積んだ「布積み」もあります。
富山城の見どころ② 富山市郷土博物館
現在の富山城の天守閣は、1954年(昭和29年)に、戦後の復興を記念して建てられたシンボル。
3重4階建ての城内は「富山市郷土博物館」として開館し、戦国時代に築城されてから近現代に至るまで、400年以上にわたる富山城の変遷を資料やパネル、模型、映像で紹介しています。
最上階の天守展望台からは、周辺のまち並みを一望することができますよ。
富山城の見どころ③ 富山市城址公園
天守閣を含む一帯は「富山城址公園」として整備され、富山市郷土博物館の他、東洋の古美術品を中心に展示する「佐藤記念美術館」、四季折々の表情を見せる和風庭園が併設しています。
広大な敷地内には、芝生広場やブランコなどの遊具が設けられ、歴史情緒を感じながら散歩をしたりピクニックをしたりと、思い思いに過ごすことができます。
富山城周辺のおすすめスポット8選
「富山城」を訪れたらぜひ立ち寄りたい、周辺のおすすめ観光スポットをご紹介します。
歴史文化に触れるのはもちろんのこと、絶景を眺め、地元ならではのお土産や食材を手に取ってみてはいかがでしょう。
富山市まちなか観光案内所(サムライエクスペリエンス富山)
富山城址公園内に位置する「富山市まちなか観光案内所」では、甲冑(かっちゅう)の着用体験や、甲冑姿で乗馬ができる「騎馬武者体験」など、歴史を楽しむコンテンツをご用意。(体験は、3〜11月の間、月に一度実施)。
この他、富山城の歴代城主・佐々成政や富山藩主の家紋を描いた「富山城 御城印」やオリジナルグッズの販売、マンホールカードの配布もあり。富山城を訪れたなら、ぜひ立ち寄りたいスポットです。
AMAZING TOYAMA(アメイジングトヤマ)
富山城址公園の南西広場には、フレーム形のモニュメントが設置されたフォトスポットがあり、富山城をバックに記念撮影が可能です。このモニュメントは、富山市が推進するプロジェクト「AMAZING TOYAMA」の一環で、富山駅前にも置かれています。
松川遊覧船(松川茶屋)
富山城址公園内の「松川茶屋」を発着する「松川遊覧船」。日本さくら名所100選に選ばれた松川の桜のトンネルを抜ける春、新緑まぶしい夏、紅葉の秋、雪景色が美しい冬と、四季折々の表情が見られます。
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富山市佐藤記念美術館
富山市佐藤記念美術館の基本情報富山県砺波市出身の実業家で、茶人でもあった佐藤助九郎氏を中心に1961年(昭和36年)に開館。東洋の古美術品などを展示する他、茶室を2室備え、1階の「茶室 助庵」では、季節の菓子と薄茶をいただけます。
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D&DEPARTMENT TOYAMA
D&DEPARTMENT TOYAMAの基本情報「ロングライフデザイン」をテーマに活動する「D&DEPARTMENT」の富山店。富山の伝統文化を活かした生活用品を販売する他、地元の旬の食材を使った料理や地酒が楽しめるレストランを併設しています。
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富山市役所展望塔
富山市役所展望塔の基本情報地上およそ70mに位置する富山市役所内の展望塔(入場無料)。360度のパノラマビューが楽しめ、富山城や富山湾、富山市街地に加え、晴れた日には立山連峰を望むことができます。ぜひ立ち寄りたい絶景スポットです。
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高志の国文学館
高志の国文学館の基本情報富山県ゆかりの作品を展示する「高志の国文学館」。文学に限らず、漫画やアニメ、映画など幅広い分野を紹介しています。ライブラリーコーナーや絵本が楽しめるスペースもご用意。美しい庭園も魅力です。
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地場もん屋総本店
地場もん屋総本店の公式HP富山市の農産物アンテナショップ「地場もん屋総本店」。富山市の生産者から直接買い付けた野菜や果物、米、地酒などを販売。徒歩約4分の「地場もん屋食堂 fil(フィル)」では、仕入れ品を使ったランチなどが楽しめます。
『くすり』×『ガラス』の街「富山市」を知る
富山のくすりが有名になったのは、江戸時代のこと。
富山城2代目藩主の前田正甫が江戸城に参勤した際、腹痛を訴えた大名に越中(現在の富山)より持参した薬「反魂丹(はんごんたん)」を服用させ回復を得た出来事がきっかけとなり、その名が広まりました。
そして、約300年の歴史を持つ富山のくすりに端を発し、明治・大正時代には、ガラスの薬びんが盛んに製造され、富山県の経済を支える産業の一つでした。
こうした歴史を踏まえ、富山市では1985年(昭和60年)より「ガラスの街づくり」に向けた取り組みがスタート。
後に空襲やプラスチックの台頭でガラス文化は衰退しつつありましたが、市民向けに講座を開講するなどして、次第に親しみを取り戻していきました。
その集大成として開館したのが「富山市ガラス美術館」です。
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富山市ガラス美術館
富山市ガラス美術館の基本情報複合施設「TOYAMAキラリ」内に広がるガラスの街を象徴するミュージアム。現代ガラス美術の巨匠デイル・チフーリ氏のインスタレーション(空間芸術)の他、国内外の現代グラスアート作品を常設展示しています。
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富山市ガラス工房
富山市ガラス工房の基本情報ショップギャラリーで富山県内外の作家作品を展示販売し、吹きガラスやペーパーウェイト作りなどの体験も可能です。ガラス造形作家の活動拠点でもあるため、創作に取り組む姿を見学することもできます。
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池田屋安兵衛商店
池田屋安兵衛商店の基本情報富山を代表する胃腸薬「反魂丹」を製造販売する老舗の薬屋。症状を聞いた上で処方する「座売り」を行い、和漢薬や薬草茶なども販売しています。伝統的な丸薬製造の体験もできます(無料)。
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島川あめ屋
島川あめ屋の基本情報江戸時代末期以降の製薬で、薬の苦味を抑えるために用いられた水あめ。1663年(寛文3年)の創業以来、伝統の味を継ぐ「島川あめ屋」では、水あめなどの販売の他、工場見学やあめ作り体験も可能(要問い合わせ)。
富山城スタートの観光モデルコース
歴史探訪が楽しめるモデルコースを下記でご紹介します。
富山駅から徒歩で「富山城址公園」を訪れ、路面電車に乗って北前船交易で栄えた港町・岩瀬へ。寄り道を楽しみながら、ゴールの宇奈月温泉を目指しましょう。
富山城の季節ごとの魅力
富山城周辺を彩る春の桜や秋の紅葉、冬の雪といった四季折々の景色に加え、季節に応じて開催されるイベントも盛りだくさん。富山城の季節ごとの魅力をご紹介します。
富山城の春
桜が彩る春。富山城址公園や周辺の松川公園、磯部堤の「松川べり」は桜の名所として知られ、さまざまなポイントから花見が楽しめます。夜間にはライトアップされた幻想的な姿を見ることもできます。
富山城の夏
富山城址公園で、祭りやBBQ・ビアガーデンなど、夏ならではのイベントが開催されます。毎年さまざまな企画があるので、詳しくは公式HPの新着情報をご確認の上、お出かけください。
富山城の秋
富山城址公園や城址大通りを中心に、よさこい祭りやパレードが行われる富山県最大級のイベント「富山まつり」が開催。この他、公園周辺を流れる松川やいたち川沿いの紅葉が楽しめる季節です。
富山城の冬
雪化粧した富山城がきらめく冬。AMAZING TOYAMAのモニュメントを使い、冬の富山城をバックに写真撮影するのもおすすめ。より幻想的な富山城とコラボレーションした一枚は、思い出深いものになるはずです。
Column
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関連記事を読む富山城址公園では各種イベントも開催
富山城址公園では、通年で各種イベントが開催されています。これまで、イルミネーションや音楽フェスティバルの他、グルメを楽しむ企画などが展開されてきました。今後開催するイベントの詳細は、公式HPの新着情報をチェック。
まとめ
幾多の変遷を経て、今に歴史を伝える「富山城」。
富山を深く知ることができるのはもちろんのこと、周辺の観光スポットや開催されるイベントも合わせて楽しめる、観光の起点とするのにも最適なスポットです。
富山観光の際には、ぜひ立ち寄って、富山の歴史を巡る旅を満喫してはいかがでしょうか。