海→山のきれいな水循環による
魚と酒のマリアージュを楽しむ
〜旬のオイシイとやま旅<魚津エリア編>〜
日本海に面した富山県。海沿いには古くから発展してきた港町がいくつも点在していますが、それぞれで獲れる魚も、見える景色も、育まれてきた文化も異なります。
そんな個性豊かな港町のことは、暮らしている人に聞くのがいちばん。今回は、魚津で「hamadaya LABO」を営む浜多雄太さんに、魚津エリアを案内していただきました。
「天然のいけす」とも呼ばれる富山湾には、秋から冬に旬を迎える海の幸がたくさん。旬の味覚と、ここにしかない体験を求めて港町へ出かけてみませんか?
世界的に珍しい
魚津の水循環
魚津市は、水の循環がひとつの町で完結している世界的にもめずらしい地形。海抜0mから標高2400m以上の山岳地帯までが、奥行き約25キロメートルに収まっています。この急な地形は海中まで続き、水深1000mにまで達します。
海から蒸発した水が雨や雪となって山々に降りそそぎ、また海へと戻っていく。これが「魚津の水循環」とよばれ、山や里、川、海などで生きるさまざまな生き物を育むとともに、魚津で暮らす人々の生活や産業を支えています。
海と山が近い豊かな魚津の自然を感じるなら、魚津駅前の観光案内所で自転車を借りて町をめぐるのがおすすめ。漁師さんの営みが見える、海沿いのサイクリングロードを自転車で駆け抜けるのも気持ちがいいですよ。
魚と日本酒の
マリアージュを楽しむ
今回の案内人である浜多雄太さんが料理長をつとめる「hamadaya LABO」も、海まで徒歩で行ける場所にあります。浜多さんは地元にある食文化を理解した上で、クリエイティブなアレンジを加えた「地方創作料理」をコース形式で提供しています。
日本人最年少で「名誉利き酒師」を取得した浜多さんが厳選した日本酒は、地酒を中心に全国の銘柄がそろいます。料理とお酒をペアリングすることで、さらに楽しい時間が過ごせますよ。
ほかにも、浜多さんに魚津のおすすめスポットを教えていただきました。
食のまち魚津の
ご当地グルメ「バイ飯」
魚津は人口に対する飲食店数が全国トップクラス。魚津の駅前商店街・鴨川付近商店街には、ミシュランガイド掲載店も多くあります。これは漁から戻った漁師たちが、盛大に飲み歩いた名残だといわれています。
浜多さんがよびかけ、魚津市内の若手料理人8人が結成した「新川食文化研鑽会」では、飲食店の店主や料理長が協力しながら、魚津の食の魅力を発信しています。
創業100年を超える老舗「日本料理 海風亭」の5代目料理長・美浪呂哉さんもそのメンバーのひとり。地元・魚津の食材をいかした日本料理の伝統を守りながらも、新しいことに挑戦し続けています。お店では丼や定食、一品料理、コース料理にいたるまで、多彩なメニューで新鮮な魚介を楽しめます。
もともと漁師のまかない飯として食べられてきた「ばい飯」は、コシヒカリにもち米をブレンドし、ごぼう、にんじん、きのこ類を加え、ばい貝を煮付けた煮汁で炊き上げる昔ながらの方法でつくられています。魚津に来たら、ぜひ食べてみてくださいね。
オーシャンビューが楽しめる
一棟貸しの宿
魚津漁協が運営する「渚泊魚津丸(なぎさはくうおづまる)」は海が目の前に広がるオーシャンビューの宿。浜多さんの同級生である地元出身の建築家・浜田晶則さんが設計しています。魚津は蜃気楼の名所なので、条件がよければ蜃気楼を見ることができるかもしれません。
一棟貸切で、最大16名まで宿泊可能。1Fにリビング&ダイニングスーペースがあり、大型キッチンでは市場で購入した新鮮な魚を料理することもできます。2Fは寝室スペース。少人数はもちろん、大人数での合宿や家族旅行にもぴったりです。
旬のフルーツを使った
気になるケーキ
「魚津埋没林博物館」は、富山湾のふたつの不思議に出合える博物館です。約2000年前の原生林が、土砂に埋まってそのままの形で残されている神秘的な「埋没林」と、大気中で光が屈折し虚像が見える自然現象で、光と風がおりなす芸術「蜃気楼」についての展示が見られます。そんな博物館のエントランスホール内に、スイーツとカフェのお店「KININAL」があります。ショーケースには、一見フルーツにしかみえない不思議なホールフルーツケーキがずらり。
見た目はまさにフルーツそのもの。海産物のイメージが強い魚津ですが、じつは果物も名産。KININALのケーキに使われるのも、地元産の果物で、みずみずしい果肉の中に、それぞれのフルーツとの相性の良さを考慮したクリームやソース、生地が隠れています。後味もフルーツを食べたときのようなさっぱりとした甘さです。もものケーキは浜多さんのおすすめで、これからの季節は柿やりんご、マスカットなどのケーキが並びます。
窓からのぞむ立山連峰や、テラス席で感じられる潮風も旅情をかきたてます。魚津観光の合間に、訪れてみてはいかがでしょうか。
※2021年9月21日時点の情報です。新型コロナウイルス感染症の影響により、営業日や営業時間の変更などが想定されます。最新の情報は公式サイトをご覧いただくか、施設などに直接お問い合わせください。
※価格は特記事項のない限り税込みで表記しております。
浜多 雄太
1984年、富山県生まれ。高校卒業後、服部栄養専門学校に入学。卒業後、恵比寿や赤坂で6年間修行。実家の日本料理店に入店した後独立し、2011年に「浜多屋魚津駅前店」を開店。2016年には「hamadaya LABO」を開店し、2店舗のオーナーシェフとなる。全国でも36名しかいない、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会認定「名誉利き酒師」の一人であり、日本人最年少取得者でもある。