![「蜃気楼」といえば魚津!ズバリ蜃気楼を見る確率を上げるには!?-1](https://www.info-toyama.com/storage/special_features/731/responsive_images/BHBib623QCWmNqsUX5OAW2xwadWh2QyTwkF9xvVS__1561_1041.jpeg)
「蜃気楼」といえば魚津!ズバリ蜃気楼を見る確率を上げるには!?
「蜃気楼」とは、光の屈折によって景色が伸びたりひっくり返ったりして見える現象で、実際の景色がさまざまな形に変形し、幻想的な光景を見ることができます。
そんな蜃気楼を観賞できる日本を代表するスポットといえば「魚津市(うおづし)」!富山湾を広く見渡せる魚津港周辺の海岸は、市の名勝「蜃気楼展望地点」に指定されています。蜃気楼の仕組み、見えやすい条件、さらに蜃気楼を見る確率をアップさせる方法も!?神秘的な気象現象を楽しむためのポイントを詳しく解説します。
蜃気楼ってなに?
蜃気楼は、温度の異なる大気層の境界で光が屈折することによって生じる光学現象で、遠方の風景や物体が伸びたり、縮んだり、反転したりして見える現象です。
蜃気楼は幻覚ではなく、実際に存在する景色が屈折して見えるものです。通常は直進する光が、温度の異なる大気の境界では密度の高い冷たい大気層へ進むという性質により屈折が生じます。
文献では、紀元前4~3世紀頃に書かれた中国の地理書『山海経』の中に、「蓬萊山(ほうらいさん)は海中にあり、大人の市は海中にあり」と記されており、「蓬萊山」や「市」が蜃気楼を指すのではないかと考えられています。
Column
![蜃気楼の名前の由来-1](https://www.info-toyama.com/storage/language_special_feature_paragraphs/13000/responsive_images/ncZN8xKzHnmxhohISYX1OxGshewvmUaSDSSo0SVn__1683_1243.jpeg)
「百鬼夜行拾遺 3巻」国立国会図書館
蜃気楼の名前の由来
古代中国の『史記』には「海旁蜃気象楼台」という一節があり、「海のそばの『蜃』の気が高い建物を形作る」という意味で、「蜃気楼」という名前の語源になっています。『蜃』は大型のハマグリを指すという説と、竜類の蛟(みずち)を指すという説の2つがあります。
『今昔百鬼拾遺』では、大ハマグリが気を吐き楼閣を作り出す姿が妖怪浮世絵として描かれており、学術的な意味合いとは別に、工芸的な風俗画題として庶民に親しまれました。
蜃気楼は主に「上位蜃気楼」と「下位蜃気楼」の2種類に分類されます。
「上位蜃気楼」は、下層の冷たい大気層と上層の暖かい大気層の境界で光が屈折し、景色が上へ伸びたり反転して見える現象です。このような屈折を起こす大気は、北極や南極などの寒冷地や、寒暖差が大きい条件で発生しやすいと言われています。
「下位蜃気楼」は、上層の暖かい大気層と下層の冷たい大気層の境界で光が屈折し、景色が下へ伸びたり宙に浮いて見える現象で、海辺や砂漠でよく見られます。
Column
![身近な下位蜃気楼「逃げ水」-1](https://www.info-toyama.com/storage/language_special_feature_paragraphs/13001/responsive_images/ER1qUu8omgpbSIjrdf2j6Q5vXwHKvQ7ybkdw7dWf__1500_1001.png)
提供:魚津埋没林博物館
身近な下位蜃気楼「逃げ水」
風のない晴れた暑い日に、アスファルトの道路などで遠くの地面が濡れているように見える現象も、下位蜃気楼の一種で「逃げ水」と呼ばれています。これは、空や遠くの景色が地面側に反転して見える現象です。
物語などで描写される、砂漠で追いかけてもたどり着けない幻のオアシスも、この「逃げ水」による現象です。
蜃気楼を見るなら魚津が一番!なぜ?
富山県の魚津市は蜃気楼が見える条件に恵まれており、「蜃気楼の見える街」として知られています。
魚津で「蜃気楼」といえば上位蜃気楼を指し、「春の蜃気楼」とも呼ばれ、春から初夏にかけて10回程度、肉眼で認識できるものが見られます。富山湾の海面付近の冷たい空気の上に、日中の陸地で暖められた空気が流れ込む地形と気象条件が、蜃気楼を引き起こす鍵となる「温度逆転層」を発生させると考えられています。
魚津の海岸線からは広大な富山湾の水平線を一望でき、富山市の方角に呉羽山や射水市の方角に新湊大橋などの目立つ目標物があるため、変化に気づきやすく、蜃気楼の観察地として多くの人が訪れます。
蜃気楼は肉眼では識別できないものも多いため、双眼鏡や望遠レンズ付きのカメラを三脚で固定して観察するのがおすすめです。最近では高機能なカメラが付いたスマートフォンも普及しており、肉眼で見えなくても撮影した画像を拡大することで蜃気楼が確認できることもあります。
Column
![かつての記録にも記される「魚津の蜃気楼」-1](https://www.info-toyama.com/storage/language_special_feature_paragraphs/13002/responsive_images/WnMlJjIMgXWJqylMtAVFidTlinrIb1j81JYJ62il__1692_1240.jpeg)
「魚津蜃気楼之図附喜見城之図断(1枚目)」金沢市立玉川図書館
かつての記録にも記される「魚津の蜃気楼」
魚津の蜃気楼に関する古い記述として、江戸期に成立した軍記に上杉謙信が1564年に魚津で蜃気楼を目撃したと書かれたものがあります。また、1797年に加賀前田家11代当主・前田治脩(はるなが)が、江戸から金沢へ参勤交代の帰城道中に魚津で蜃気楼を目撃し、家来に描かせた変化する蜃気楼の絵『魚津蜃気楼之図附喜見城之図断』として残されています。治脩が蜃気楼を見たとされる場所(現在の大町海岸公園)は、「魚津浦の蜃気楼(御旅屋跡)」として国の登録記念物となっています。
魚津で蜃気楼が見られる条件とは!?
地元の経験則による魚津で蜃気楼が見える時期や条件を、魚津埋没林博物館の「蜃気楼専門学芸員」佐藤真樹さんにうかがいました。
・3月下旬から6月上旬(特に5月が多い)
・朝の冷え込みがあり、日中との気温差が10度以上
・弱い北寄りの風の日(※強風が吹くと空気の層が乱れるため)
・晴れた日が2~3日続く
魚津埋没林博物館のWEBサイトでは、蜃気楼の過去の出現記録や、春から初夏の期間では蜃気楼の出現予測、現在の映像のライブ配信も確認することができるので事前にチェックするのがおすすめです。
また、下位蜃気楼「冬の蜃気楼」は朝や気温の低い日など年間を通してみられ、特に11月~3月頃の寒い時期にはより明瞭に変化して見えるので、近くに立ち寄った際には、ぜひ探してみてください。
下位蜃気楼とともに「∞(無限)」を描くアート作品「infinity~mirage(山下麻衣+小林直人)」が魚津・黒部の海辺で楽しめます。詳しくは、黒部市美術館・魚津埋没林博物館のWEBサイトで紹介しています。
《infinity~mirage》プロジェクト
Column
「蜃気楼」が見えた時にメールが届く「しんきろう通信」
蜃気楼が見えるときに、事前に登録したメールアドレスに、蜃気楼の状態や見える方面を知らせてくれる「しんきろう通信」や、XなどのSNSでも情報を配信しているので、観光前に登録やフォローも忘れずに!
※蜃気楼の状態によっては、配信されないこともあります。
蜃気楼を見る前に「魚津埋没林博物館」で勉強しよう!
魚津埋没林博物館は、その名前の通り国指定特別天然記念物「埋没林」を展示する施設ですが、「蜃気楼コーナー」もあります。ここでは、蜃気楼が見えるメカニズムや歴史の展示、ミニ蜃気楼を観察できる蜃気楼再現装置、光の屈折を見る装置などの体験コーナーがあり、蜃気楼について学ぶことができるので、観察前に立ち寄るのもおすすめです。
ハイビジョンホールでは、300インチの迫力ある大きなスクリーンで、刻々と変化する幻想的な蜃気楼の映像を楽しむこともできます。
Column
![証明書「天下之奇観 魚津の蜃気楼」-1](https://www.info-toyama.com/storage/language_special_feature_paragraphs/13004/responsive_images/WmRT6rCC2SNDnQPMDvb7keTg1YRTftmAdC19kNjc__1775_1270.jpeg)
提供:魚津埋没林博物館
証明書「天下之奇観 魚津の蜃気楼」
「みなとオアシス魚津」の蜃気楼展望地付近で、運よく蜃気楼が見られたときは「魚津埋林博物館」で自己申告すると、魚津市観光協会発行の「天下之奇観魚津の蜃気楼」という証明書をもらうことができます。残念ながら見れなかったときも、「蜃気楼見られんだちゃ証」が海の駅蜃気楼付近で観光案内を行う「しんきろう見させ隊」からもらえます。
蜃気楼が見られなかったらここへ行こう!
蜃気楼展望地付近には遊園地や水族館など観光スポットも盛りだくさん!蜃気楼が見られなくても楽しめる施設があるのでご安心ください。施設を巡りながら蜃気楼が出現するのを待つのもおすすめです。
魚津水族館
もっと見る「北アルプスの渓流から日本海の深海まで」「日本海を科学する」をテーマに、富山にこだわった展示をする県内唯一の水族館で、日本に現存する中で最も歴史が古い水族館です。蜃気楼が発生しやすい期間と重なる、3月中旬~5月末まではホタルイカの展示も行っています。
ミラージュランド
もっと見る富山県内唯一の遊園地として、ファミリーや子どもに人気の遊園地。蜃気楼のシーズンと同じ、3月中旬に冬期休業を終えて開園します。富山湾と北アルプス立山連峰を一望できる高さ66mの大観覧車をはじめ、5階建ての立体迷路や大人気のふわふわドームなど、アトラクションも充実しています。
海の駅蜃気楼
もっと見る蜃気楼展望スポットにある施設で、魚津港で水揚げされた鮮魚や、四季折々の農産物、富山の銘菓、民芸品などが販売されています。また、活きのいい魚を使った魚料理が楽しめるレストランも併設され、3月から11月の土日祝日には、炭火で焼きたてのお魚が楽しめる浜焼きも楽しめます。
蜃気楼のシーズンに美味しい魚津のグルメ
春の蜃気楼を見ることができる3~6月に旬をむかえるグルメを紹介!魚津港で水揚げされる鮮魚など、この時期でしか食べられないグルメも堪能しましょう。
ホタルイカ
もっと見る富山湾のホタルイカ漁は毎年3月1日に解禁され、3月中旬頃から最盛期を迎え、6月下旬頃まで続きます。鮮度が重要なホタルイカのお刺身は、コリコリとした食感が美味しく、この時期ならではの富山で味わいたいグルメです。
バイ飯
もっと見る春から初夏にかけて旬を迎えるバイ貝を殻ごと煮つけにし、旨味たっぷりの煮汁とともに、身と肝を炊き込んだ漁師飯。「Sea級グルメ全国大会」や「Fish-1グランプリ FINAL」でも賞を獲得した、人気のご当地グルメです。
寿司
もっと見る魚津で旬の魚介を楽しむなら、お寿司が一番!蜃気楼のシーズンはホタルイカやシロエビ、紅ズワイガニなどがおすすめです。富山湾で獲れた旬の地魚の寿司10貫に、富山らしい汁物が付いた「富山湾鮨」を提供しているお店もあります。
Column
![魚津ハトシ-1](https://www.info-toyama.com/storage/language_special_feature_paragraphs/13006/responsive_images/DA12tql9jQjjPSzihjYgU8Xjt6DvEJEOoU4mJXAy__1156_770.jpeg)
魚津ハトシ
海老のすり身を食パンで挟み油で揚げた長崎の郷土料理「ハトシ」をアレンジした魚津の新名物!海老に甘海老を使い、魚のすり身、玉ねぎや調味料を混ぜて食パンに挟みカリッと揚げた人気商品です。
今日がダメでも明日なら?蜃気楼は泊まりで見に行こう!
過去の出現記録から、シーズンは蜃気楼が連日で見られる傾向もあります。魚津の蜃気楼展望地近くには温泉地や宿泊施設も多くあるので、のんびり数日滞在しながら観測してみてはいかがでしょうか。
金太郎温泉
もっと見る「にっぽんの温泉100選」に選ばれた温泉地で、国内でも珍しい塩化物泉と硫黄泉が混合している泉質が特徴です。75度の源泉が毎分1トン湧き出し、100%源泉かけ流しのお湯を楽しむことができます。黒部峡谷や立山黒部アルペンルートへのアクセスも便利な立地で、蜃気楼観測だけでなく、温泉と観光も存分に楽しめます。
ホテルグランミラージュ(SPA BALNAGE)
もっと見るみなとオアシス魚津の蜃気楼展望地から車で7分、最上階には立山連峰と富山湾を一望できる「インフィニティ露天風呂」や温度設定やコンセプトの異なる2種類のサウナと水風呂、「アート浴」を楽しめる内風呂を備えた「SPA BALNAGE」があるシティホテルです。夕方と翌朝で男湯と女湯が入れ替わるので、異なる眺望を楽しめます。
北山鉱泉
もっと見る蜃気楼観測の後は、車で約15分ほどの静かな山間にある「北山鉱泉」もおすすめです。1867年から続く歴史ある湯治場で、少彦名神社に参拝してから温泉に浸かると子宝を授かるという言い伝えもあります。現在は2軒の宿があり、滑らかでクセのない、やわらかな湯は体を芯から温めてくれます。
魚津市へ蜃気楼を見に行こう!
3月下旬から6月上旬は、魚津の蜃気楼が見えやすいシーズンです!とはいえ、過去のデータから見ると出現率は20~30%程度で、双眼鏡などを使用しないと観察が困難な日も多くあります。期待しすぎず、蜃気楼観察以外を観光のメインにして、見られたらラッキー!くらいの心構えで訪れるのがおすすめです。
この時期は、ホタルイカやシロエビの漁も解禁されるグルメシーズン。魚津市から車で約30分の「あさひ舟川春の四重奏」をはじめ、桜・チューリップ・菜の花なども見ごろを迎えます。ぜひ蜃気楼とあわせて、富山の春から初夏をお楽しみください。