「寒ブリ」といえば氷見!氷見漁港に揚がるブランド魚「ひみ寒ぶり」を食べに行こう!
寒ブリ(かんぶり)は冬の時期を代表する高級魚。日本海で獲れる寒ブリの中でも、氷見の寒ブリは鮮度抜群!刺身やブリしゃぶなど多彩な料理で楽しめる寒ブリの美味しい秘密をご紹介します。
まずは、「ブリ」について知ろう!
ブリ(鰤)は、スズキ目アジ科に属する海水魚で、学名は「Seriola quinqueradiata」です。日本の沿岸、特に日本海南部と北海道南部から九州の太平洋岸に生息しています。
ブリは回遊魚で、成長とともに名称が変わる出世魚として知られ、関東では主に、小さいサイズは「ワカシ」、次に「イナダ」、「ワラサ」を経て、最終的に「ブリ」と呼ばれます。(関西では、「ツバス」→「ハマチ」→「メジロ」→「ブリ」などとも呼び名が変わります。)※参照:日本海区水産研究所
富山では、「ツバイソ」→「コズクラ」→「フクラギ」→「ガンド」→「ブリ」と一般的に呼ばれています。
ブリは細長い紡錘型の体形をしており、背中は青緑色、腹側は銀白色、目から尾ビレにかけて黄色い縦帯が特徴です。成魚は1m以上にも成長し、寿命は約7年。産卵期は冬から初夏にかけてで、稚魚は表層で成長し、秋になると外洋へと回遊します。
地域によって旬が異なり、北海道では夏から初冬、富山県のある本州や四国では年末から春に最盛期を迎えます。
「寒ブリ」ってなに?寒ブリが美味しい理由
「寒ブリ」とは、冬に漁獲されるブリのことで、特に脂がのって美味しいとされています。「寒ブリ」と呼ばれるのは、寒い季節に獲れるブリが脂肪をたっぷりと蓄えていて、味が一段と良くなるためです。通常、寒ブリは11月から2月頃にかけてが旬とされ北陸地方の冬を代表する高級魚として知られています。
冬になるとブリは産卵のために南下し始めます。この時期のブリは長距離移動に備えて体内に脂肪を蓄え、冬の冷たい海水によって、ブリの体内の脂が固まりやすくなり、身が引き締まります。多くの寒ブリは定置網漁で獲られるため、ブリにストレスを与えにくく、鮮度を保ちやすいとされています。また、多くの産地では、獲れたブリをすぐに氷水に浸けて「沖締め」を行い、鮮度と旨味を保持しています。
氷見の寒ブリはここが違う!
ひと足先に秋に旬を迎える北海道を皮切りに、寒ブリは南下に合わせて新潟・佐渡、富山湾、能登半島、さらに京都や長崎の壱岐・五島で水揚げされます。富山湾はブリの産卵ルートの中間地点に位置し、能登半島と続く深い海底谷の地形が天然の定置網のように寒ブリを誘い込むため、最も脂がのった状態で漁獲されます。
富山湾の定置網で獲れ、氷見漁港に水揚げされた重さ7kg以上で形・質が良好なものは、「ひみ寒ぶり」というブランドで流通します。定置網を張った漁場から氷見漁港までの距離が近いため、獲れたブリは鮮度を保ったまま出荷されます。近年では、競りで落とされた後に神経抜き処理を施すひと手間を加えた寒ブリもあり、旨味成分を逃さず鮮度を保ったまま飲食店や食卓に届けられています。
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「ブリ起こし」と「ひみ寒ぶり宣言」
冬に発生する荒天や雷のことを漁師たちは「ブリ起こし」と呼び、ブリ漁の開始を告げる自然のサインと考え豊漁への期待が高まります。富山県氷見市では寒ブリ漁が本格的なシーズンに入ると「ひみ寒ぶり宣言」を行い、高品質な寒ブリの出荷開始を公式にアピール!シーズンが終わると「ひみ寒ぶりの終了宣言」も発表されます。
氷見で受け継がれる「嫁ブリ」とは?
富山県では、結婚した年の年末に新婦の実家が新郎の家にブリを丸ごと1本贈る「嫁ブリ」という習慣があります。富山湾で水揚げされる寒ブリは高級魚であり、縁起物とされています。出世魚のブリにちなんで、新郎の出世を願う気持ちが込められています。お返しとして半身を新婦の実家へ贈る「ブリの半身返し」という習慣もあり、新婚夫婦と両家の絆を深める富山の冬の風物詩として大切に受け継がれています。
一方、九州北部や山陰地方では、逆に新郎の実家が新婦の家に「嫁いだ新婦さんの『お嫁さんぶり』がいい」としてブリを贈る習慣があり、古くから富山県民だけでなく地域の文化や絆を象徴する存在となってきたことがわかります。
寒ブリの脂は身体にも良し!
寒ブリの脂には、記憶力や学習能力の向上、中性脂肪やコレステロールの低下、アトピーやアレルギー症状の緩和に効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血管・血液の健康維持に重要で、血液をサラサラにし、中性脂肪値を下げ、血管年齢を若く保ち、心臓病や脳梗塞、動脈硬化を予防するEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
また、高タンパクで低カロリーなことから、ダイエットや健康的な身体作りにも効果が期待できます。糖質の代謝を促すビタミンB1、脂質の代謝を促すビタミンB2、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、貧血に良いとされる鉄分、コレステロールの代謝と肝機能を高めるタウリンなど、健康をサポートする成分がギュッと凝縮されています。
寒ブリの美味しい食べ方
寒ブリの脂がのった濃厚な味わいを活かすさまざまな食べ方をご紹介します。
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ブリの刺身
脂がたっぷりのった寒ブリの新鮮な刺身は、シンプルながら寒ブリ本来の旨味と甘みを堪能できる定番の食べ方です。わさびはもちろん、脂で醤油をはじいてしまうため、大根おろしと一緒に食べるのもおすすめです。
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ブリしゃぶ
薄切りの寒ブリをさっと出汁にくぐらせて食べる「ブリしゃぶ」は、余分な脂が落ちることで、さっぱりとした味わいになります。ポン酢や薬味、ごまだれと一緒に食べると、寒ブリの脂と相性がよく、美味しくいただけます。
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ブリ大根
寒ブリのアラや切り身を使って作る「ぶり大根」は、ブリの旨味が大根に染み込み、冬の寒い時期にぴったり。じっくりと煮込むことで、ブリの脂と大根の甘みが相まって、ほっとする味わいに。家庭料理としても人気があります。
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ブリの塩焼き
寒ブリの切り身に軽く塩を振って焼くと、外はパリッと中はふっくらジューシーに仕上がります。シンプルながらも寒ブリの旨味を引き出し、脂の風味を存分に味わえます。特に脂ののった腹身を使うと、さらに美味しく仕上がります。
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ブリの照り焼き
寒ブリを醤油、みりん、砂糖などの調味料で甘辛く焼く「ブリの照り焼き」は、脂の乗ったブリが調味料の甘みと絡み合い、ご飯が進む一品です。皮面をしっかり焼くことで香ばしくなり、皮までおいしく食べられます。
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ブリのカマ焼き
寒ブリのエラ横の胴体部分、首元から胸ビレにかけての部位「カマ」を香ばしく焼き上げます。1尾から2対しか取れない貴重な部位で、特に脂がのっていて旨みが凝縮されています。大根おろしや柑橘を添えれば、さっぱりといただけます。
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氷見市の冬の人気イベント「ひみぶりフェア」
例年12月初旬から2月末頃までの約3ヶ月間にわたって行われる「ひみぶりフェア」。氷見市内の宿泊施設や飲食店など、多数の参加店舗で、富山湾の冬の王者「氷見の寒ブリ」を使った料理を楽しむことができます。フェア期間中は、ブリ料理を注文すると抽選でお食事券が当たるプレゼントキャンペーンや、ブリの解体ショー、重量当てクイズなどの関連イベントも開催。
水揚げ状況によっては、氷見の寒ブリ料理を提供できない場合もあるため、参加店舗への事前の問い合わせや予約をおすすめします。
寒ブリを食べに氷見へ行こう!
「ひみ寒ぶり」を食べるなら、やっぱり穫れたてを氷見市のお店で!寿司屋や割烹、氷見漁港にある食堂など、おすすめのお店をご紹介します。
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橘寿司
もっと見る1977年創業の「橘寿司」の店主が、氷見漁港から毎日仕入れるネタの中でもおすすめするのは、11月~2月頃の寒ブリ!「富山湾鮨」の提供店でもあり、「お酒の〆のお寿司屋さん」として界隈で認知されている寿司処です。
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川喜
もっと見る1962年から掲げる寿司割烹「川喜」の暖簾を受け継ぐ現店主は、寿司専門の父と割烹専門の母、両方の持ち味を再現する腕利きの職人で、個人としての料理歴も半世紀を数えます。寒ブリや氷見牛の「しゃぶしゃぶ」も人気があります。
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割烹 秀月
もっと見る郷土料理や県産食材を活かした創作料理など「とやまの食」の普及活動を行う「とやま食の匠」にも認定されている店主が腕をふるう「割烹 秀月」。寒ブリシーズンには、ブリ尽くしの「寒鰤会席」などを提供しています。
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割烹 しげはま
もっと見る氷見漁港から歩いて10分ほどの「割烹 しげはま」では、ブリが水揚げされる期間しか味わえない「鰤コース料理」が楽しめます。特に、ブリのエラや内臓を使った珍しい料理も評判で、店主こだわりの地元の味が堪能できます。
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魚市場食堂
もっと見る氷見漁港の競り場近くにある「魚市場食堂」は、早朝6:30から営業し、漁師や仲買人も通うので鮮度の良さは折り紙付き。ブリの刺身と炙りをあふれんばかりに盛り付けた「寒ぶり丼」は、漁師町らしい豪快さを感じる一品です。
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寒ブリをふるさと納税の返礼品で!
氷見の寒ブリは、ふるさと納税にも多数出品されています。氷見漁港で競り落とされた天然ブリを一本まるごと届けるものや、刺身用の柵、ブリしゃぶしゃぶ用、煮付けや焼き物用のブリカマ、丼用のブリ漬けなど、好みに合わせて選べます。
※生ものは「ひみ寒ぶり宣言」と連動しており、水揚げ状況により予告なく終了する場合がありますのでご注意ください。
他にも、寒ブリの切り身に塩をして寒風で干した「汐ブリ」、味わい深い「西京漬け」「粕漬け」「たまり醤油漬け」などの味付け品や、表面を香ばしく直火で炙った「氷見ブリたたき」、燻製にして生ハムのようにスライスされた「氷見スモーク」、じっくり干して旨味を凝縮させた「氷見ブリジャーキー」など、産地ならではの一風変わった商品も返礼品として受け取ることができます。
寒ブリは氷見観光とあわせて食べに行こう!
その歴史は万葉集に詠まれるほど、古くからの漁師町である氷見市。富山湾と立山連峰の絶景がさまざまなアプローチから楽しめ、美人の湯と評判な「氷見温泉郷」や、藤子Ⓐ先生の数々のキャラクターに出会うことができる「まんがロード」などみどころもたくさん!「ひみ寒ぶり」とあわせて観光もお楽しみください。